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〔裏番外〕狂愛??<純愛10
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ーガタガタガタガタガタガタ
何大人しく触らせてんだぁあ!!
心の叫びを押し殺し、苛立つ思いは貧乏ゆすりに変わる。賢史は俺の足を見て鼻で笑った。
賢史「そんなに気になるなら隣に行けば?」
百目鬼「何の事だ。ニコチンが切れただけだ」
ーガタガタガタガタガタガタ
賢史「ブフッ。ふーん、今咥えてるのはタバコじゃないのか?」
百目鬼「…アチッ」
短くなりすぎたのに気がつかず、慌てて灰皿に押し付けたら火傷した。
マキはオカマ共に黙ってベタベタ触られてやがる。俺の中は訳の分からない感情が支配して今にも噴火しそうだ。ガタガタと揺れは収まらず次のタバコに手を伸ばすと、向こうの席が騒がしくなった。
むつ「はぁあ?マキが役に立つわけないだろ!マキの奴最近まで死んだみたいにやつれててなんも食わねぇし元に戻すの大変だったんだぞ!」
苛立って立ち上がったむつは、オカマたちに向かって店に響き渡る大音量で叫んでた。
え?
死んだみたいにやつれて食わない?
マキ「嘘、嘘、大袈裟ぁ何言ってんの…」
マキはヘラヘラ笑いながら、否定する。
華南が話に加わり、どうやら食が細くなっったらしいこと、体調が悪くて入院してたからと言っている。
入院?あの入院の後に、また入院したのか?いや、清史郎のところにいる時定期的に見に行ってたが、マキは清史郎の家にいた、そこから修二の家に行ったから、2度目の入院はしてないはず…
修二「ああ、マキがなかなか体重戻らなかったのは、無理矢理口に入れて食べた振りして隠れてトイレで出してたからだよ」
はッ!?
修二の衝撃的な言葉に、俺は思わずマキのいるテーブルを凝視していた。
菫「まぁ、そんな〝体調悪かった〟の?」
マキ「そ、そうなんだ!夏風邪ってしつこくて!なかなかお腹治らなくて!」
慌てて取り繕ってるマキ。
夏風邪?違うんだろ?修二の言い方は棘のある言い方だった。そして、マキがオロオロしながらこちらを横目で確認してきた。
その時、むつの言葉が頭を過る。
〝むつ『マキは泣き虫だ!今も泣いてる!てめぇーが好きだって泣いてるんだよ!』〟
あの言葉は、あの時、乗り込んでくる寸前もマキはむつの前で泣いたってことなのか…
マキ「もう治った!もうなんの心配もないから!」
マキは、そんなボロボロだったなんて微塵も感じないほどいつも通りに見えた。
ヘラヘラいつも通り。作り笑いを浮かべているのは、俺に怯えてるからじゃないのか?
マキ「僕ちょっとお化粧室行ってくる♪」
マキは、オカマたちと修二たちの会話を避けるように席を立ち、そそくさとトイレへ。
マキの姿が見えなくなると、むつがギロッとこっちを睨んできた。
俺がマキを振ったから、マキは酷く傷ついてんだ、何とかしろと言わんばかりに。
だが、見る限り、これはマキが望んだことじゃない。マキは狼狽えたのを顔に出さないようにしてるが、必要以上にヘラヘラしてる。
ああいう時は、何か我慢してる時…。
周りがお節介にマキに炊きつけてるだけで、マキは今すぐ逃げ出したいんだ。だからトイレへ逃げ込んだ。マキは、当たり前だが俺と話す気はない。
となれば、もう、長居はしない方がいいだろう。
賢史「…なぁ、神」
百目鬼「なんだ」
賢史「お前が行かないなら、俺が行ってきていい?」
百目鬼「は?」
賢史「はっきり言ってさー、俺の本心、お前とあの子は釣り合わないと思うわけよ。神はこんな臆病だし、あの子はビッチだし」
百目鬼「あ!?マキはビッチじゃない!」
賢史「お前が、あの子が良いって言うから、協力しようかと思ったけど。お前、迎えに行きそうにないし」
百目鬼「見たろ、マキのあの引きつった顔。あいつは菫や修二に嵌められたんだ、望まずに連れてこられたんだ」
賢史「ハハッ、神には、女王様がそんな風に見えるのか?俺にはそうは見えないな」
百目鬼「…お前にはどう見えてるんだ」
賢史「生まれたての子鹿ちゃん」
百目鬼「は?」
それって、足をガクガクしてるアレか?
ビビってるってことじゃないのか?
賢史は、考え込む俺を鼻で笑いながら、席を立つ。
百目鬼「おい!どこ行く!」
賢史「決まってんだろ、ナンパだよ」
百目鬼「はあ!!」
賢史「邪魔すんなよ元彼君、俺が女王様に興味あるの知ってんだろ?お前はマキを捨てたんだ。今もチャンスだったのに話そうともしない」
百目鬼「まだ片付いてないだろ!」
賢史「そうそう、まだお仕事片付いてないからお前は迎えに行かない。つまりマキ様は今フリー、お前はマキ様を捨てた男であって俺を止める権利はない。俺がマキ様を誘っても何の問題もナッシング。今晩ベットに連れ込んでチョメチョメしてもマキ様が嫌がらなきゃ合意であって何の問題もナッシング。
Do you understand?」
グッ!!
言い返さない俺を見て、賢史はニタニタしながら俺を席に残してマキの入ったトイレに向かう。
確かに、賢史の言う通りだ。マキは今フリーだ、俺がどうこう言えない、今の俺には止めに行く権利も資格もない。
分かっていても、この煮え滾る感情が今にも爆発しそうなほどだ。
この店に入った瞬間。マキの驚きと困惑に満ちた瞳。そのあとも怯えるように俺から見えなくなるように華南と奏一の間で身を縮めていた。
今まで俺のそばにいたマキは、あんな風に怯えた目で俺を見なかった。嫌がられてるんだ…
だから、俺は賢史を止める権利がない…
俺には、賢史を止める権利は…
もしもマキが賢史の誘いをOKしたら…
賢史はよだれ垂らした狼になってホテルへ連れ込んで…
狼賢史『肉付きの良いケツだなぁ、ウッシッシ』
マキはその日の内に賢史に足を開かされても抵抗しない…
羊マキ『や、優しくして』
賢史は言葉巧みにマキを慰めそのままマキを…
狼賢史『ほらほら?狼さんがたっぷり可愛がってあげるぜ?』
羊マキ『アーン♪狼さぁーん♪』
狼賢史『今日から毎日可愛がってやる♪』
ーゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
あーダメだ!もうダメだ!!
陳腐な妄想、しかし、賢史ならヤりかねない!
からかってる部分もあるにしても賢史は据えぜんは食う。狙った獲物を捕まえたら、必ず食う男だ!!
百目鬼「クソッ!!」
勢いよく立ち上がり、ツカツカとトイレに向かう。
マキと賢史のいるトイレに向かうなんて、バカ丸出しだ!絶対に菫たちもニタニタしてるに違いない!
だけど我慢ならない!賢史に触らせたくない!あいつはダメだ!スケベなおっさんなんかダメだ!!賢史じゃマキを幸せに出来ない!!
俺はどうするつもりなんだ?
賢史がマキを口説いてる所に乗り込むのか?もし二人が良い雰囲気だったらどうする?俺は、邪魔以外の何物でもない。でも、賢史じゃダメだ、賢史じゃマキの本当の顔は守れない!!
振った人間がどのツラ下げてマキの恋路を邪魔できる?
トイレに着いた直後、トイレのドアが開き、賢史がマキと並んで出て来やがった。
ハァア!?
賢史「よぉ、神!お前もトイレか?」
ニヤニヤした賢史が、マキの肩を抱き寄せて颯爽と俺の横を通り過ぎる。
百目鬼「ッ!!」
賢史「なんだなんだ神、しっぶい顔しちゃって、寝不足も限界か?菫ママに言って少し奥で寝かせてもらえば?俺のことは気にするな、俺は今から〝マキ〟と仲良くお話しするから、少し休んでりゃいいよ、連日の探しもので睡眠不足だろ?」
自信たっぷりの賢史。マキを落としたかのようにマキを抱き寄せる。
しかし、マキは困惑した困った顔で賢史を見上げていた。
その表情で確信した。合意じゃない!。
賢史の野郎…マジにマキを慰めるつもりか!
魔性マキと一発ヤってみたいだけだろ!
マキは魔性なんかじゃない!あの仮面の下に本当の自分を隠してる、上辺だけで慰めるなんて出来やしない!
賢史には繊細なマキの心は癒せない!
百目鬼「顔を洗ったら戻る。だからそいつは奏一に返してお前は席に戻れ」
賢史「ああ、じゃあ奏一も一緒に…」
百目鬼「ふざけんな」
俺の警告を全く聞かずにチャラける賢史に、俺の我慢は限界だった。
マキを抱き寄せるその腕も、ニヤニヤ真剣味のない嫌がらせも。
マキから手を離せッ!!!
マキが困ってんだろうが!!
だけど賢史は俺の睨みを物ともせず、ますますおかしそうに鼻で笑う。
賢史「決めるのはお前じゃ無いだろ?」
そう笑って、マキの肩を抱いたまま奏一たちのいるテーブルに向かい、今度は修二たちに絡み出した。
賢史「菫ママ!カウンター貸してよ」
なッ!?
賢史の野郎!!
本気でマキを落すつもりだ!!
シェイカーを振るのは、賢史が相手をお持ち帰りする時の上等手段。
菫「あら、久々に作るの?私も一杯お願いしようかしら」
賢史「王子様達の飲み物作ったらな」
しかし、何も知らないガキ共は、目をキラキラさせて賢史に着いて行ってしまう。
クソックソックソッ!
どうすりゃ良いんだ!!
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