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〔裏番外〕狂愛♎︎<純愛15
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好きだと思ったことがあるかって?
恋してるかだって?
してるに決まってんだろ!
付き合ってんだぞ!
俺は、確かに〝好き〟だとは言ってないが、適当に付き合ってんじゃないんだぞ。恋しいと思ってるさ。
お前と普通に恋愛しようって馬鹿みたいに最近の若者の雑誌とか買ってきて色々調べてみたりしたのに恋愛してないなんて間抜けな話あるか?
色々調べて、デートだってレストランだって、マキの好みそうな場所なんか分らねぇから、ネットで調べりゃ檸檬にバレて笑われるし、見つからないように雑誌買いいきゃ店員に二度見されるし!料理本買って作れるもの増やしたり!俺は俺なりに恋愛してたさ!
お前と普通に恋愛できるように俺は俺で努力してた、でもそれはお前の見えないところでやってた訳で…、お前には見えなかったかもしれないが、見せるもんでもねぇし!
あー!クソ!!
そりゃ、〝好き〟だって言わなかったのは悪かった…だけど、ソレを言っちまったら、お終いなんだよ。
俺は止まれない、努力も制御も効かない!
言わなかったのは俺が悪かった。
でも、分かるだろ?
つまんない嫉妬して、束縛してるんだから…
…分かるだろう…
お前を大事にしたいから言いたくなかった。
言ってない時ですらあんな何度もキレて気絶するまで抱いちまうんだ。
言葉にしたら、もっとお前を傷つける。
危険なんだ。
まるでパンドラの箱のように。
百目鬼「………を」
店内の賑やかさの中で、俺の頭の中は本棚をぶちまけたみたいに荒れ放題で、どうにもならないような情報量と感情とに荒れ放題。
だが…
ぶちまけて広げてみると、逆に目についてしまうこともある。
パンドラの箱ってやつは…
百目鬼「…それを聞いて…どうする?」
〝ソレ〟を見ないように、顔を両手で覆いながら、俺の口は動いてしまう…
言ってはいけない…
言ってしまいたい…
マキ「……どう…って……」
百目鬼「……」
マキ「…ただ…知りたかった……」
…好奇心で開けるには、中身が危険すぎる。
百目鬼「……お前は…何もわかってない…」
マキ「………僕…、出来ることは頑張れるだけ頑張ったつもりだよ…、百目鬼さんに好かれたくて…、好きになってもらいたくて…。結果空回りだったけど…、良い子になるように気をつけたつもり…」
百目鬼「俺の言う事を全く聞かなかった。俺の言ってる事は無視して、奏一に言われたから反省してるんだろ?」
俺には、好きになってもらったのかとか…恋してくれてるのか、なんて気持ちでいたくせに。付き合った俺にそれなのに、奏一には随分な懐きようだ…
マキ「…奏一さんに言われて反省したけど…、百目鬼さんの言ったこと無視した訳じゃない…反省はしてた」
百目鬼「反省して、アレか」
マキ「…ごめんなさい。でも、百目鬼さんを守りたかったんだ…」
百目鬼「…それだ…それがおかしい。…お前はおかしいことだらけだ…」
おかしいことだらけで手まで震えてきやがる…。
マキは馬鹿だ、とびきりの大馬鹿野郎だ…
ぶちまけた本棚の中身を見て、普通の人は〝部屋を散らかして…。なんか陰気…〟と言うところを、マキにかかればたちまちポジティブな言葉に変わる。
〝わぁ、本がいっぱい♪百目鬼さんこんなにいっぱい読んでるんだね物知りだもんね、凄い難しい本とかいっぱいあるぅ♪取り扱い注意とか貸し出し禁止の本とかワクワクする♪♪
ねぇねぇ、整理整頓するの手伝うからさ、僕もこの本貸して、読んでみたい♪〟
どこまでお人好しなんだ!どこまでいい面しか見えないようになってんだ!!
…違う。嬉しいんだ…。本当は…
百目鬼「どうしてそうなる…俺に対してどうしてそんな思考になる…」
吸い込まれるような不思議な輝きを持つジュピター色の瞳が、俺を真っ直ぐ見て告げる。
マキ「…百目鬼さんが好きなんだ…だから…百目鬼さんが楽に息できるようにしたかった…百目鬼さんを傷つけるものから遠ざけたかった…」
俺だってお前を傷つけるものから遠ざけたい!だから別れたんだろ!俺といても泣かせるばかりだ!
そう思いながら喜んでる自分がいる。
〝好き〟って言われるたびに、お前が俺の中に入り込み、俺は馬鹿みたいにお前を欲しがる。
百目鬼「だから、それがおかしいって言ってんだ!」
気持ちだけじゃダメなんだ。
感情だけがお前を側で守りたいと思っても、現状はそうはいかない。
結局これだけは変えようとしない。
色白の細い腕で、どうして強面の俺を守ろうなんて発想になるんだ!!
そう言うと、マキは俺の質問に馬鹿みたいにいい話を並べて返してくる、俺が一つ反撃すると10倍返してベラベラ喋る。
俺たちは結局、答えの出ない話を繰り返す。
マキの自己犠牲も、俺の危険性も、結局押し問答で話は平行線。
そんな時、フッと、マキが困ったように笑った。
マキ「自分でも笑っちゃうくらい自分が制御出来ないんだ…。百目鬼さんのこと好きになり過ぎちゃった。……バカみたいな話だけどね。百目鬼さんの全部欲しくなっちゃったんだ」
えっ?
それって…
……俺と……同じ……
マキ「百目鬼さんの1番になりたかった。百目鬼さんに1番好きだって言ってもらえるようになりたかった。百目鬼さんにとって修二がどれほど大事な存在か、奏一さんがどれほど大好きな存在か知ってるのに、そこと競ったり、バカでしょ?僕なんかがかなう訳ないのに…。百目鬼さんにきっぱり、修二以上なんてありえないって言われたのに…」
は?
修二や奏一と競う?
修二以上はありえない?
そういえば、そんなようなことを言われたことある気がする、だけど、修二以上って?なんで比べる必要がある。
マキの良さと、修二の良さは、別物だ。
マキ「諦められなくて♪
頑張ったら超えられないかなぁって、でも、百目鬼さんのことも守りたいから、結局怒らせちゃうんだけど…」
マキの声が涙声に変わる…
マキが苦しそうで、俺の胸も激しく痛む。
だけどマキ…
お前に守られることだけは出来ない。
お前が泣いても、それだけは許してやれない。お前は俺に守られてろよ。
マキ「百目鬼さんの、幸せそうな顔も、照れてる顔も…、笑ってる顔も、百目鬼さんの悲しみも苦しみも罪も全部、僕と分かち合って欲しかった。百目鬼さんの努力も頑張りも…僕が手伝ってあげたかった……百目鬼さんを独占したかった……百目鬼さんの全部が好きなんだ……」
やっぱりマキは、静かに涙だけをポロポロ流してる。泣き叫ぶことはせず、瞳にいっぱい涙をためて……
………俺は…
ダメダ…
……俺も……
ダメダ…
コトバニスレバ…奪うことしかできない。
マキ「ッ…優しいのに激しくて、誰より頑張ってるのに上手くいかなくて、不器用で愛情深いそんな百目鬼さんが…百目鬼さんが……ッ…
好きです…………」
百目鬼「ッ!!……」
孤独の中で生きてきて…
それだけを望みにしてた…
人生で…たった1人でいい…
俺の存在を愛してくれる誰か…
その誰か1人に出会いたい…
そのたった1人が…
今目の前にいるとして…
俺は、考えもしなかったんだ。
その相手にとっても、俺という存在が、〝たった1人〟になるってこと…
俺の愛情は狂気だ…
俺は〝たった1人〟になってやるには歪みすぎてる…
マキをこの場で抱きしめれば、俺の〝たった1人〟になるだろう…
でも、マキにとって俺が〝たった1人〟でいいのか??
マキ…俺の愛情は…狂愛だ…
お前の純粋な気持ちをも喰らい尽くすだろう…
それでも…
〝たった1人〟の相手に、俺を選ぶか?
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