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〔裏番外〕狂愛♎︎<純愛39
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〔裏番外〕狂愛>♎︎<純愛
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尾行してる2人は、なかなか出来る奴らだ。
1人は駐車場に残り、1人は遠くから俺たちを観察して時々写真を撮ってる。さらにこれまで尻尾を出さなかったことを考えると、恐らくプロ。同業だ。
俺はトイレに行くふりをして、周りの草木を利用して尾行していた奴の裏側に回った。
百目鬼「そこのお兄さん、〝あなた達〟の落し物ですよね」
男「えっ?、ッ!!」
後ろから1人の男に声をかけ、ハンカチを差し出した。
振り向いた男は、30代半ば。
俺が視界に入ると息をのんだが、驚きを表情には出さず、通りすがりを装った。
男「いえ、私のではありません、他の方かと…」
と、同時に、駐車場に停まってた白い軽自動車が男を置いて発進、逃げた。
置いて行かれた男は、平静を装い、公園の奥の方に消えていく。
この自然公園は広く、車の出入り口がもう一箇所ある、恐らく、奴らはそちらで合流するだろう。
俺は、ハンカチを内ポケットにしまい、携帯を取り出し、電話した。
百目鬼「檸檬、行ったぞ後は頼んだ」
この尻尾を、逃すつもりはない。
檸檬『待ってましたぁー!!』
電話の向こうでは、ノリノリで待機してる檸檬が手ぐすね引いてた。
百目鬼「お前1人だよな、矢田は?」
この作戦は、一発勝負だ。矢田には完全に極秘で進んでる。
檸檬『ちゃんと巻いてきましたとも♪』
百目鬼「さすが檸檬」
檸檬『百目鬼さんもマキちゃんに悟られないでくださいよ』
マキは勘が鋭い上に、これを耳にしたら、何をやらかすか分かったもんじゃない。
マキにこそ、極秘に進めてきた。
この尻尾で本体を引きずり出してやる。
自己犠牲するばかりの傷だらけのマキに、もうこれ以上傷ついてほしくない。
俺は…
マキ『…捨て…ない…で…』
二度と…
マキ『好きになってゴメンなさい』
マキを…
いつも、表情を崩さず、静かに泣くマキ。
俺は、大事なことに気づかなかった。
マキを泣かせたいあまり、本音が見たいあまり、マキの流す涙の意味を、マキの零す本音を取り違え、俺は、ずっと、マキを見れてなかった。
俺と居て、泣くことが多くなったマキを、俺は、何故悲しませてしまうんだと思いながら嬉しく思ってた。
マキ『恋は…芽生えましたか?』
マキをあんな風には泣かせない…。
誰にも触らせない…
二度と…
俺から離さない…
二度と…
手放さない…
俺が、守ってみせる。
百目鬼「檸檬、誰に言ってんだ」
瞳を真っ直ぐ、その手を離さない。
檸檬『…フッ♪、失礼しゃーしたぁー♪』
俺の言葉に込められたものを感じ取った檸檬が、電話の向こうで笑ったが、茶化しては来なかった。
俺は、誓った。
泣かせないだけじゃなく…
笑顔にするんだと。
マキ「百目鬼さん♪♪焼き菓子2種類買ったよ♪半分こしようね♪♪」
店前に戻ると、マキが丁度店から出てきた。
焼き菓子を嬉しそうに抱え、邪魔者キングを大事に抱っこして。
百目鬼「ああ、〝半分こ〟しよう」
なぁ、マキ。
俺は下手くそだから、今すぐお前を笑顔だけには出来ないかもしれない、直さなきゃいけないこと、学ばなきゃいけないことがいっぱいある。
何より、お前を知らなきゃいけない。
マキとしてのお前と
茉爲宮優絆としてのお前を…。
周りの奴らに教えてもらってばかりじゃ、お前を笑顔に出来ない…。
変わるから…
必ず変わってみせるから
このあと、何があっても、お前を守るから
お前は、何があっても、
自己犠牲的になるのだけはやめてくれ。
マキ「百目鬼さん♪今日はありがとう♪すっごい楽しかった♪」
車に乗り込むと、マキはニコニコしながら助手席に座る。
百目鬼「そうか、また連れてきてやるからな」
マキ「今度はお弁当持ってきて食べようよ♪」
百目鬼「ああ、お前が好きなオカズ入れてな」
マキ「百目鬼さんが作るものはみんな美味しいからみんな好き♪」
百目鬼「褒め過ぎだ」
マキ「本当だよ♪、今まで食べた中で1番美味しいのばっかり♪」
百目鬼「俺より上手いご飯なんていっぱいあるだろ、俺の作るものはほとんど母さんのレシピだからな…、今度、本物食わせてやるよ」
マキ「え…」
百目鬼「俺の師匠だからな」
マキ「……、ふふふっ、うん♪」
百目鬼「よし、帰るか」
車を走らせ始めると、マキは子供みたいにずっと笑ってる。
マキ「今度行ったら、ボート乗ろうね♪白鳥のやつ♪」
百目鬼「…」
マキ「ふふふ♪顔が引きつったぁ♪百目鬼さんああいうの乗ったことある?」
百目鬼「あるわけないだろ」
マキ「ふーん♪、じゃ、僕と乗るのが初めてだね♪僕も初めて♪♪」
乗る気満々かよ。
この笑顔のマキに、乗りたくないとどう伝えよう…。
マキ「白鳥にキングも乗れるかな?」
百目鬼「…」
マキ「水はキングが怖がるかな?」
百目鬼「次は、2人で行こう」
マキ「ぇえッ!?」
百目鬼「犬コロは杏子にでも預けよう」
マキ「え、なんで?もぉー、今日は仲良しだったじゃん、ねぇーキング」
…
マキ「あっ、寝ちゃってる。可愛いなぁ♪」
百目鬼「…杏子に預けろ」
マキ「ふふ♪嫉妬?百目鬼さんも可愛いよ♪」
百目鬼「犬コロは留守番だ」
マキ「百目鬼さぁ〜ん…」
…邪魔コロが!!
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