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(番外編)純愛>♎︎<狂愛17
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7月は。
眠ってる間に日付が変わってた。
百目鬼さんと別れ、僕は自分を見失った。
清史郎さんの時もかなりショックだったけど、いつかそうなると思ってたから。
僕はマリアの代わりだから…。
だけど、百目鬼さんに要らないと言われた時、この世の終わりなんじゃないかと思うほどショックだった。
やっぱりね…なんて思おうとしても思えずに涙が溢れた。
清史郎さんの家に篭る僕に。
むつが迎えに来てくれて、修二の家で暮らして、修二とむつと華南の優しさに触れて、現実を受け入れようと思った…。だけど、残酷な現実を、僕の体は拒否してご飯が喉を通らない…。
奏一さんが現れて、百目鬼さんの実家の食堂に連れてってくれた。
百目鬼さんと別れて二度と会えなくても、この食堂に来れば、いつでも百目鬼さんの味に会えると思ったら、なんとか立ち上がれるようになった。
優しい人たちと、いつも叱咤激励するむつ君に囲まれて、何とか笑えるようになった時間。本当は泣いてしまいたくてたまらなかった。
9月半ば…。
今から一週間前に、菫ママの家で百目鬼さんと再会するまでは……
百目鬼さんに胸の内を全部話した。
百目鬼さんは、僕の手を取って連れ出してくれた。そこから毎日薔薇色で。
4日目に成一に嵌められて実家に閉じ込められた時、百目鬼さんはすぐに助けに来てくれた。
今となっては、百目鬼さんと別れた地獄のような時間は、もう、終わったって
信じれる。
僕の夢は…
大好きな人に、毎日大好きだと言って。
1日の終わりは、大好きな人の腕の中。
1日の始まりも、大好きな人の腕の中。
デートは手をつないで…
いっぱいキスして、毎晩SEXする事。
だった…………
遠くで、音がする。
それがテレビの音だと気づくのにかなり時間がかかった。
寝ぼけてボーッとする視界には、開け放たれた寝室のドアの向こうのリビングで付けっぱなしのテレビがチカチカ色を変えているのが何となく見える。
『…とのことです。……なお、一週間前に現行犯逮捕された溝呂木容疑者の取引きは、二週間前に匿名のタレコミがあり、警察は取引きまでの一週間で裏付けを取り、当日現行犯で取り押さえたとの事で、現在、逮捕から一週間、黙秘を続けていた溝呂木容疑者は、徐々に容疑を認めているとの事です』
ーキャンキャン!
あっ、キング…。
どこかでキングが鳴いてる。こっちに来ないのは、また、百目鬼さんがゲージに入れちゃったのかな?
起きなきゃ…、でも眠くて…
ーキャンキャン!ワフゥッ!
ダメダメ…目を開けて…
朝ごはん…出してあげなきゃ…
眠気に勝てずに瞼が上がらない…、キングの鳴き声は止んで、寝室の前に人影が見えた。
百目鬼「起きたのか?」
優しい声の低音ボイスが僕の鼓膜を擽る。
百目鬼「キングには餌はやった。昼には一度戻るから、それまでゆっくり寝ろ」
スーツを着た百目鬼さんの大きな手が、僕の頭を撫でて、頬をなぞる…。
〝いってらっしゃい〟って言ったつもりなのに、声が出てなくて、口が僅かに動いただけ。
百目鬼「ああ、行ってくる」
百目鬼さんは僕の言葉を読み取って、もう一度ワシャッと頭を撫でてくれた。
1日の始まりは、大好きな人の腕の中から…
〝百目鬼さん…大好き…〟
僕の唇が声もなく動くと、百目鬼さんはピクッと手が止まった。
百目鬼「てめーは…」
そう呟くと、大きな手が僕の僅かにかかる布団を剥いで、下半身を撫で回す。
マキ「やっ、やん!…ぁ…何も出ないよぉ〜」
今朝も明け方まで抱かれてて、僕は完全にぐったりしてる。
百目鬼さんは散々弄り倒して、僕が真っ赤になってヒクンヒクン身を震わし悶えるのを見て満足すると、ニヤリと笑った。
百目鬼「よしよし、昼はオムライスだからな…」
マキ「うぅ…」
撫でられた心地よさに瞼は重くなり、百目鬼さんの温かい手に包まれるような気持ち良さに、僕はまた夢の中へ戻っていく…
百目鬼さんが、僕を茉爲宮家から助け出してくれてから、4日が経とうとしていた。
敏腕弁護士の烏磨さんにより、茉爲宮家の顧問弁護士と実父に、〝多少〟強引ではあるが、僕に有利な条件を全て呑ませたそうだ。
その背景には、清史郎さんの協力と、先生様の協力があったそうで…。
僕の知らないところで、色々な事に終止符が打たれていた。
僕と百目鬼さんは、平和に暮らしてた。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
ーピンポーン♪ピンポーン♪ピンポーン♪ピンポーン♪ピンポーン♪
けたたましいインターホン。
僕はパチッと目を開き、起き上がって時計を見た。
お昼の12時ちょっと前。
百目鬼さんはとっくに仕事に行っていて、昼には戻ると言ったけど、それには少し早い時間。
鳴り続けるチャイムに、僕はベットから降りてインターホンを覗き込んだ。
むつ『マキー!マキー!いねぇーのか!』
そこには、めっちゃ怖い顔したむつ君と、その後ろには、困り顔の修二と華南。
マキ「ありゃ、百目鬼さんの家に来るなんて一体何があったんだろう?」
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