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20〔裏番外〕ゆくえ……
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賢史「あのさー、神君。君は本当に恋愛するとダメ男丸出しだよねー」
暴走してしまった翌日の仕事終わりに、俺は賢史と飲みに出掛けた。
マキは、また修二の家に行くというので、晩飯も食ってこいと言っといた。
マキは、そんな俺にいつもと同じように「神さん気にしすぎ、僕は大丈夫なのに、あんなの暴走の内に入らないよ。昨日のは気持ちよすぎただけなんだよ」ってフォローしやがるが、俺がキレちまった事には変わりない。
俺はマキに「ゆっくりしてこい、俺も賢史に誘われてるから、ゆっくりしてくる。何なら泊まってこい」と言ったら、マキは伏せ目がちににシュンとしていた。
菫の店だとチャチャが入るので、今日は静かな別の店に来ていた。
賢史「女王様と上手くいかなくならないと俺と飲まないって、友達としてどおよ?」
百目鬼「お前が、〝酒のつまみにちょうど良い、爆笑、何でも解決してやる、爆笑〟って言ってたろうが」
賢史「言ったし爆笑したけどさぁ…、かなり根に持ってんなぁ、器が小さいぞ神君」
百目鬼「あ¨?」
賢史「ってかさ、お前の話、惚気にしか聞こえねぇし」
百目鬼「またキレちまったんだぞ!それの何処が惚気だ!」
飲んでたコップを乱暴にテーブルに叩きつけ、賢史をギロッと睨んだが、賢史は何てお馬鹿ちゃんなのと言いたげに小さくため息つき、次のつまみに箸を伸ばした。
賢史「神はほんっっっと、人の感情に鈍いっつうか、それなのに、見えるもんは見えるからアンバランスっつーか。ブッキー君だよなぁー。あのよぉー、神は考えすぎなんだよ。今起こってる事は、もっとシンプルなのよ」
そう言いながら、煮物の中に入ってる、うずらの卵を器用に箸先でつまみながら、行儀悪く俺の方に〝ビシッ〟と向けてくる。
百目鬼「シンプル?」
賢史「女王様が最近動けなくなるのも、気絶する回数が増えたのも、乱暴にしたからじゃなくて、女王様が言ってる通り、良過ぎたからなんじゃねぇの?」
百目鬼「は?」
ふざけたこと言いやがって、面倒くさくて適当に答えてやがるな!?
百目鬼「あいつは前はそんなことなかった、今は俺が毎日何度もしちまって疲れさせてるのに、更に毎度キレちまうし…昨日は…」
賢史「毎日?…何度も?……、〝神が〟襲ってんの?お前ってエッチはねちっこいけど、求めるのは淡白じゃなかった?雪哉の時も自分からは殆どいかなかったよな?」
百目鬼「それは…、暴走するのが嫌だったんだ、暴走して乱暴に扱って、それでも良いって涙を浮かべる相手を見ると興奮して、求められてることに満足するが、…俺は…そんな自分が嫌いだ」
今日は何だか、いくら飲んでも酔えない……
賢史「…なら、何で毎日?女王様が跨って来るから?エロ可愛過ぎるから?」
百目鬼「それもあるが…、マキは今は跨って来ない。その前に俺が喰っちまう」
賢史「うわ…、お前って時々スゲー事サラッと言うよな。女王様がエロ可愛いのは否定しないんだな…。それじゃ女王様も大変だろうな」
百目鬼「何が?」
賢史「毎度毎度、何度も〝俺に全部寄越せ〟〝俺以外見るな〟〝俺のもんだ〟〝監禁してやる〟〝素直な顔を俺だけに見せろ〟〝好きだ〟〝愛してる〟って連呼してんの?」
賢史は、そう言いながら、テーブルのつまみをつまんで口の中に運ぶ。
百目鬼「ッ、お前じゃないんだから、〝好きだ〟〝愛してる〟なんて連呼しねぇよ!!そんな安売りできるもんじゃない!」
俺がそんなこと言ったら、もっとマキを縛っちまう。
賢史「またまたぁ、つもりはなくても言ってんだろ?」
百目鬼「言ってない!一度もそんな事言ってない!そんな大事なことセックスしながら言えるか!」
賢史「…………………………。監禁が言えて?」
百目鬼「なんか言ったか?」
賢史「……まぁ、お前の性格ならそうなるのも分かるけどよ…」
百目鬼「何が?」
賢史「ほんと、極端っつうか…、0か100しか出来ねぇっつーか、右端から左端にしか動けねぇーっつーか…。だから女王様はレベル高すぎだっつったのに」
ビールを飲みながら、枝豆を振ってため息つく賢史、マジに聞いてくれてるとは思うが、いちいち行動も言い方も軽いのにイラっとする。
百目鬼「あ¨?」
賢史「そんな容量オーバーばっかで面倒くさいなら、別れちまえば?」
百目鬼「なんだと!」
賢史「取り戻して幸せです。じゃないじゃん?お前、女王様が好きなの?幸せなの?取り戻してみたらそうでもなかったとか…」
百目鬼「な訳あるか!俺は好きでマキと付き合ってるし一緒に住んでるんだ!俺にはマキが必要だ!マキが俺の隣で幸せそうにしてるなら、俺も幸せだと思える。そんな風に感じる気持ちをマキがいる事で感じる。俺は、ちゃんと悩んで考えてマキと一緒になると決めた、俺は決めた事をそう簡単に変えたりしない」
賢史「…お前がそういう意味で真面目で堅いのは知ってるけどよ…。…ってか、そのまんま言ってみれば?」
百目鬼「何が?」
賢史「だーかーらー、〝好きだ、愛してる、一生俺の側にいろ、幸せにしてやる〟ってさ」
百目鬼「そんな事チャラチャラ言えるわけないだろ。それに、言ったところでマキは信じない…」
賢史「…まぁ、女王様が色々ぶっ壊れてるのは見てればわかるけどよ。だから止めとけって俺は言ったんだぞ?でもお前は、その魔性の不良品を手放したくないんだろ?」
百目鬼「オイ!」
賢史「安心しろ、お前も不器用過ぎて愛が深すぎる不良品だ」
百目鬼「ふりょ…」
賢史「気ぃー使って言葉選んでも、話がまどろっこしいだろ。それに神は普段からまどろっこしいんだからよ、しっかり捕まえて話をすれば?気を使ったってどうせ三回転半決めておめでたくも誤解されてるんだろうし、女王様もなかなかに捻じ曲がった性格だぜ?曲がってる同士、黙ってても仕方ないだろ」
百目鬼「…」
賢史「俺なら萌えるけどな、愛され慣れてない凍った心を溶かして、愛を信じさせるとか。純粋で何も知らない子を俺色に汚して染めるとか」
百目鬼「…マキは簡単じゃない」
賢史「だから、その簡単じゃないって分かりきってた
女王様を選んだのはお前だろ?簡単じゃない女王様が良いんだろ?」
百目鬼「…俺は、全部手に入れたい…、マキも…マキの嫌う部分も…過去も全部。茉爲宮優絆も俺のものにしたい…。でも俺は…欲しがるばかりで、マキの気持ちを考えてやれない…、考えても察してやれない、傷つけて、泣かして、終いに泣いてるマキを貪る」
賢史「………あのよぉ。確かに、お前はそういう未熟な部分はあるが、そんな未熟で不器用でキレまくるのお前が好きだって言ってんのは女王様の方だぜ?お前こそ忘れてんじゃないの?先に好きだって言ってきたのは女王様の方だろ?女王様がお前を好きになったんだろ?そこはさ、自信持って良いんじゃねぇーの?ナイフの前に飛び出したり、お前を危険から遠ざけようとしたり、女王様は、お前のためなら何でもやるって感じだろ?……。女王様が神にマジだっていうのは…、十分…分かった…そこは認める」
賢史が言いながら嫌そうにビールを飲み干す。
賢史が…初めてマキを褒めたように聞こえたが…
百目鬼「賢史…」
賢史「……で、話を元に戻すとだな。…俺は見たわけじゃねぇから本当の所は知らないけどよ、お前の話や、元セフレの雪哉とのセックスを参考にするならさ、お前のセックスはネチっこくて良いとこ攻めまくって泣かせるの大好きじゃん」
百目鬼「なっ!?大好きじゃない!」
賢史「興奮するんだろ?」
百目鬼「ッ…ッ…」
賢史「だろ?」
百目鬼「グッ……」
賢史「相手が泣いて懇願するまで攻めまくって、ドロッドロに溶かしてから、突き抜けるような快感で攻めまくるのがお前のパターンじゃん。だから女王様も攻められまくってグッショグショなんだろ?」
百目鬼「想像していニヤつくな!」
賢史「ましてや昨日はアホみたいに〝俺に全部寄越せ、お前は俺のもんだ〟って言葉責めしたんだろ?」
百目鬼「言葉責め?」
賢史「お前、キレた時ほど喋りまくるからな」
百目鬼「…喋りまくってる?」
賢史「ああ、喋りまくり」
百目鬼「…言葉責め?」
賢史「責めまくりだね。…今晩意識的に言葉責めしてみろよ、きっと突っ込んだ瞬間にイッちまうんじゃないのか?足腰ガクガクさせて震えてるところに、耳元で囁いてみろよ〝好きだ、愛してる〟ってさ、きっとその瞬間メスイキして失神するんじゃね?」
百目鬼「今晩はダメだ」
賢史「何で?」
百目鬼「マキは明日大学だ」
賢史「融通気がねぇなぁ…」
百目鬼「マキが気怠い顔して大学行ってみろ…」
賢史「そっち?。……ああ、俺が同じキャンパスの学生なら確実にナンパするね…」
百目鬼「普段完全防備したってタダでさえ卑猥なオーラ漏れ出してんのに…」
大学でマキに群がるハイエナ共を想像してイライラした。大学なんて、やれ合コンだ何だとヤりたい盛りの男共ばかりだ。
怒りでフツフツしていると、賢史がボソッとなんか言った。
賢史「………それは、お前に愛されまくって幸せで綺麗になったからだろ……」
百目鬼「なんか言ったか?」
賢史「…なにも」
賢史(………女王様をエロくて可愛くしてるのは神だと教えたら、こいつまたさらに面倒なこと考えてこんがらがりそうだな…。いや、実際、よりを戻してからの女王様はヤバイくらい可愛くなった…。神のやつ自分が女王様を変えてることに気付いてないのか?……。この恋愛数値小学生にどうやって説明すれば理解するのやら……)
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