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40〔裏番外〕ゆくえ……
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【同日、朝】
マキ「ぎゃぁあーーーーーーー!!!!」
菫の店でドンチャンした日の朝。
マキは、俺のベッドの上で全裸で絶叫して目覚めた。
百目鬼「落ち着けマキ、大学は間に合うぞ」
マキ「やっちゃった…、ぼぼ、僕、寝ちゃっ…」
百目鬼「ああ、アルコール入ってたからなぁ」
マキ「あーーん!僕のバカ!もー折角…」
何だかガックリと項垂れるマキは、何かに物凄く落ち込んでいた。
百目鬼「今朝までの事を覚えてないのか?」
青ざめてたマキが、一瞬にして真っ赤になった。どうやら、今朝までの濃厚なお強請りセックスを思い出したらしい。
お酒の入ったマキは、ヤバかった。俺以上の猛獣だ。
マキ「ごごごめん!百目鬼さん!今日30分早く行かなきゃいけないんだ、教授が話があるって…」
百目鬼「そうか、朝ごはんは出来てるぞ」
マキ「ごめん!ありがとう!」
マキはフラフラ危なっかしく歩きながら、急いで支度をして朝ごはんのフレンチトーストを頬張った。一瞬で食べ終えると、慌ただしく玄関に向かう。
百目鬼「マキ、忘れもん」
マキ「え?どれ…ンン¨ッ!!!」
マキの顎をすくい上げて、その急いで喋る唇にキスをした。約束どうり、ほっぺじゃない正真正銘のキス。
マキ「ンッ…はぁ…んふ…」
柔らかい唇、甘い舌、熱い吐息、今朝まで腕の中だったマキを取り戻すように、舌を絡め取って上あごをなぞると、カクッとマキの膝が折れた。
百目鬼「おっと…」
マキ「ッ…んはぁ………、バッ!…」
百目鬼「キス如きで腰砕けか?」
マキ「ッ!!…バカバカッ!!」
バカとは心外だ。
真っ赤な顔して怒ってるが、唇にキスしろと言ってきたのはマキの方なのに…
やっぱり難しい年頃じゃんなぁ…
百目鬼「車で送ってやるから、その間に立て直せ。仕事でお前の大学方面に行く」
そう言ってプリプリしているマキを車に押し込んだ。
が。
実は今日仕事は無い。
俺にとって大事な用事が入ってる。
誕生日である今日、あえてこの用事を入れた。
誕生日うんぬんに思い入れがある訳じゃないが、人は、キッカケがないと踏ん切りが付かない。
俺にとっては、長い間苦しんできたことに、何のキッカケもなく思い切るには、少々腐ってる時間が長すぎた。だから、あえて、30になる今日、大事な事柄を全て盛り込んだ。
マキを大学に送り届けた時、俺はマキに言った。
百目鬼「マキ、今日は授業終わり空いてるよな?」
マキ「うん、もちろん」
百目鬼「行きたいところがあるから迎えに来るから、授業終わったら電話してこい」
マキ「…うん」
何だろうと緊張した様子のマキ。
だが、これから起こる事を、俺はマキに話してやれない。それが、〝条件〟だからだ。
マキを見送り姿が見えなくなってから、俺は携帯を取り出した。
百目鬼「…もしもし、お久しぶりです。〝優絆君〟を大学に送り届けました。今からそちらに向かいます」
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全ての準備は整った。
あとは、結果を信じるだけだ。
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ーピリリリリリン♪ピリリリリリン♪
百目鬼「…終わったか?」
マキ『うん終わったよ♪』
マキは、俺と何処かにデートに行くと思っているのだろうか、心なしか声が弾んで聞こえる。
百目鬼「今、すぐ側にいる。正門前に行くからそこに居ろ」
マキ『うん♪』
正門前に移動すると、マキが俺を発見してパッと表情を明るくした。小走りに駆け寄ってきて、直ぐに助手席に乗り込む。
マキ「ただいま神さん♪」
百目鬼「おかえり」
マキ「ねぇ、今からどこ行くの?♪」
弾んだ声が、今日は特別な日だからなんか起こるんだと楽しそうだった。
そう、特別な日だから、何か起こるのだが、マキはきっと怒るかもしれない。
百目鬼「内緒」
俺は、運転して前を見ながら平然と答えたつもりだが、マキは浮き足立っていたのが背もたれに深くもたれて、何かを感じとったようだった。
マキ「ふーん」
それ以上何も聞いてくることはなくなり、ただただ、2人して進行方向を向いて景色が流れるのを黙って見ていた。
車内は沈黙していたが、きっとマキの頭はフル回転してる。俺も、今からの出来事を考えると、緊張してしてくる。頭の中は、同じ事をグルグルと考えて、その合間に、マキに視線をやって様子を見てみたが、マキは完全に読み取れない表情で前を見据えていた。
そうして変な空気が流れる中到着したのは、とある高級ホテル。
車を預けてホテル内に入ると、上品なインテリアと豪華なシャンデリアが高い天井に輝く。
マキは、輝くシャンデリアを見上げ、高級感溢れるホテルに若干ソワソワしながら、俺の後ろからついてきた。
ロビーを歩いていると、右隅のソファーで人が立ち上がる。
俺たちを見つけ、こちらに向かってくる人物を見て、マキは引きつった声を漏らした。
マキ「えっ……」
マキの動揺が分かる。
きっと頭の中がパニックだろう。
だが、俺が言えるのは一言だけだ。
俺たちに近づく人物が満面の笑みでマキを見つめて歩いてくる。
マキ「な…んで…?清史郎さん?」
不安な声を漏らしたマキは、俺と清史郎の顔を交互に見ながら「どういうこと?」と言いたげに狼狽えた。
百目鬼「落ち着け、大丈夫だ」
小声でそう告げるが、マキは益々不安げな瞳で俺を見つめる。
足早にマキの前まできた清史郎は、愛おしそうにマキに手を伸ばしたが、その指は、触れる直前で思いとどまって、迷い、引っ込んだ。
その溢れる愛情は、マキを抱きしめたかったのだろう。
清史郎「優絆、元気そうで良かった。何度か元気だと電話は貰ったけど、実際に見るまで心配してたんだよ。いきなりで驚いたろ、すまないね。成一のことも茉爲宮家のことも全ての方がついたんだ。だからどうしても話をしたくて…」
マキ「…清史郎さんも怪我が治ってて良かった」
清史郎「ありがとう、優絆はやっぱり優しいね。今まで本当にすまなかった」
マキ「清史郎さんが私に謝ることは何もないよ。むしろお礼を言わなきゃいけないことばかりだから」
清史郎「……優絆…。百目鬼さんと…話をしたんだ。それで……また、私と一緒に暮らさないか?」
マキ「!!!!」
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