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END〔裏番外〕ゆくえ……
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マキ「…ん…」
百目鬼「ああ、起こしたか?すまん」
ベッドにマキを下ろしたら、マキが目を覚ましてしまった。口を尖らせて、僅かに開いた目が、俺を見つけて安心したようにまた閉じ……
マキ「……………………………、わッ!!」
突然、マキが飛び起きた。
俺までビックリして何事だと思ったら、マキは慌てふためいて叫ぶ。
マキ「な、何時!?今何時!?」
百目鬼「あ?時間?…22時半頃だが…」
壁掛けの時計を確認し教えてやると、時間を聞いてマキはホッと胸をなでおろし、かと思ったら、今度は床の方をキョロキョロしてベッドから急に立ち上がろうとした。
百目鬼「おい!まっ…」
ズダン!と大きな音を立てて、マキがベッドから落ちた。それもそのはずだ。さっきまで散々俺に抱かれて散々潮吹いて、足腰ガクガクなんだから…。
マキ「痛ぁ〜い」
百目鬼「まったく、何やってんだお前は。水か?食いもんか?夕飯食べ損ねたからお腹すいたろ」
顔面強打して、メソメソ子供みたいにしてるマキを、ヒョイと抱いてベッドに戻してやると、マキはお姫様抱っこされて赤くなり、さらに腰が抜けて動かない下半身を確かめて、また赤面した。
こいつは…、また、ブチ犯されたいのか?
マキ「ねぇねぇ神さん、僕の鞄は?」
百目鬼「鞄?」
マキ「携帯が入ってるの!」
ああ、修二たちに報告するのか…。
そういえば、帰りの車の中で何回か鳴ってたな。
マキのいつも持ってるショルダーバックをリビングから取ってきてやった。マキが携帯を取り出すと、案の定メールが何件か届いていたが、殆どむつからだ。
あのクソガキ…。
マキ「はい。神さん」
マキは、携帯の次に取り出したものを両手に乗せて、俺に差し出してきた。ルービックキューブより少し大ききくらいの箱に、デカいピンクのリボンのついた可愛いラッピング。
百目鬼「おい…、ピンクって」
腕時計の箱じゃない…
まぁ、もういいんだ…
マキの20歳の誕生日にマキを貰うから…。
マキ「えへへ♪可愛いでしょ?お誕生日おめでとう♪」
悪戯としか思えないデカいピンクのリボン。それには覚えがある。初めてプレゼントを貰ったマダラトビエイにも、ピンクのリボンをつけてもらってやがった。
マキ「…あ、あのね…、部屋の隅に置いといてくれればいいから…」
百目鬼「おいおい、ヌイグルミとか言うのか?ベットサイドはもういっぱいだろ」
マキ「…。えへへ♪」
恥ずかしそうに、困ったように眉を寄せるマキの表情に、しまったと思った。
ウッ…。ぬいぐるみだったら要らないって言っちまったように聞こえたか……
百目鬼「新しい棚買って飾るから、そんな顔すんな」
マキ「…ふふ、ありがとう神さん♪」
危ない危ない。これからは言葉に気をつけなきゃな。
せっかくマキがソワソワ可愛い面して用意してくれたんだから…
ピンクのリボンのを紐解いて、可愛いラッピングの包装を丁寧に剥がし…。
百目鬼「そうだマキ、またスープ作ってくれよ」
マキ「え…」
百目鬼「なんでそんな困った顔する。料理出来るようにするんだろ」
マキ「…うん」
百目鬼「ただし、それ以外のことは今まで通りだからな、俺は、お前の面倒を見てるつもりはない、あれは俺の楽しみだ」
マキ「…たの…しみ…」
百目鬼「お前が嬉しそうな顔が観れるチャンスを奪われたら堪ったもんじゃない」
マキ「アハハッ…、なにそれ、僕は百目鬼さんと居られれば嬉しいよ♪。…。嬉しいし楽しいし幸せだよ♪だからね…、……あのスープも、いつも僕が嬉しくて幸せだよって…。………………誕生日にお料理作ろうかなって…。
えへへ♪修行が足りませんでした♪ごめんなちゃい♪」
百目鬼「はぁあ!!?言えよ!!なんでそんな大事なことッ」
マキ「だってぇ〜、あんな不味いのにそんなこと言えないし、神さんすっごい怒ってたから…」
百目鬼「ぐッ……」
俺って奴は…
俺って奴は…
百目鬼「あの時は勘違いしたんだ!悪かった!頼むからもう作らないとか言わないでくれ!なんなら一緒に作ろう!」
マキ「ふふふ♪うん♡」
マキが、嬉しそうに笑ってる。
寛大なマキに、何度感謝すれば気がすむんだ、俺のポンコツ脳みそ!
マキ「箱の蓋開けて開けて♪可愛いの見つけたんだ♪」
ニコニコ嬉し恥ずかしそうに笑うマキに速されて、プレゼントの箱の蓋を開けてみた。
中には、可愛らしいライオンのぬいぐるみ。
そういえば、ベットサイドのライオンのぬいぐるみが、一体しかない事を気にしていたっけか。
百目鬼「…ん?」
マキ「………。」
百目鬼「このライオン…なんかくっついて……」
マキ「………。。。」
百目鬼「………」
摘み上げたライオンのぬいぐるみは、何かを抱っこしていた。
それを見た瞬間、俺は自分でもビックリするぐらい驚いて、マキを見た。
マキは緊張した様子で照れ笑いしながら、その声は乾いてわずかに震える。
マキ「……、えへへ♪…、じ…神さん…
僕と…ずっと…一緒に…、いて下さい……」
それに込められた意味を、俺はもう知ってる。
マキ「あは♪…なんちゃって♪……、ぅわッ!?」
思わずガバッとマキを抱きしめた。
キツくキツく抱きしめたから、マキが埋もれてジタジタしていたが、やがてバタついていた手が、俺の背中に、そっと回される。
マキ「…神さん、大好きだよ…」
小さい子をあやすみたいに優しく告げられた言葉が、俺の胸を熱くする。
この湧き上がる感情がなんなのか…
マキといると説明できない感情ばかりと出会う。
百目鬼「ッ…、なにが、隅っこに置いといてだ!」
マキ「……怒る…かなって…」
百目鬼「怒るさ、もっと堂々と言え」
これ以上ないほど強く抱きしめて、ぎゅぅぅッと抱きしめて…、それでも足りなくて、湧き上がるように求めるこの気持ちはなんだろう。まだ足りない、もっともっとマキを抱きしめたい。
でかい図体した俺が、マキをすっぽり抱きしめてるのに、見る奴が見れば、俺はマキに抱きしめられてヨシヨシされてるんだろう。
腕の中のマキが、うにうに動いて息苦しそうに顔を出し、遠慮がちに微笑んで、緊張気味に告げる。
マキ「えへへ…、お誕生日プレゼント…これしか思いつかなかった…」
ああ…そうか…。
誕生日プレゼントだったのか…
また俺は早とちりしてやがる…
マキ「神さんは…、自分ばっかりみたいに言うけど…僕だって、神さんを独り占めしたいんだぞ」
知ってる…
お前がどんな気持ちを込めてコレを買ったのか俺は知ってる。
だからこんなにも嬉しくて愛おしい…
ライオンのぬいぐるみが抱えていたのは…
青い文字盤が輝くシックな腕時計……
マキ…
同じ時を一緒に生きよう
俺たちなりのやり方で……
〔裏番外〕ゆくえ……【END】
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