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「からかいたい」5
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つよし「すいません!すいません!」
賢史「いや、そんな謝んなくても大丈夫だよ、本人にも謝ってもらったし」
つよし「す、すいません!ユリちゃんは本当は優しいんです、ぼ、僕がこんなだから、少し過剰反応してるだけで」
賢史「過剰反応してるのは…性格…だけじゃ無いよな。イジメにもよく合うんだろ」
つよし「ッ!?」
こないだ俺とぶつかった時、つよしは俺に怯えてた。だから警戒させて逃がしちまうより、一時保留してやったんだ。ユリがもう少しまともな話ができたならこっそり報告するつもりだったが。ユリは俺を警戒してて仕事柄酒も入っていたし、今回は話さなかった。
だが、せっかく再会したのも何かの縁だ。つよしのことはまだよく分からないが、マキの友達だ、神の関係者ならほっとけない。
それに、何より、影で人数に物言わせてコソコソやる奴が、俺は一番大嫌いだ。
賢史「あの時お前を殴ったのは同じ学校の奴らだろ」
つよし「ダメッ!!」
つよしが弱っちい手でグイグイ俺を押しながら黙らせようとしたが、俺は聞かなかった。イジメる奴も悪いが、イジメられる奴も一緒になって隠そうなんておかしい。だが、つよしは、誰だかに話すことで更にイジメられるのが怖いって訳じゃなかった。
聞かせるとヤバイ奴が目の前にいたからだった。
マキ「けー♪んー♪しー♪さん♡その話ぃー♪くわーしく教えて欲しいにゃ♡」
俺に詰め寄った天使のような笑顔のマキが、恐ろしいくらいキレイな微笑みでニコニコしてる。
俺の上着の襟元に、スルリと伸ばされた綺麗な指は、妖しい手つきで鎖骨下をなぞって襟に絡める。
その笑顔は、普通の人間が見たら笑ってるだけに見えるだろう。だが、俺は神や神の知り合いにいる怒らせたらヤバイ奴らをよく知ってる。そいつらと同じくらいヤバイ激昂の狼煙が、マキの背後に上がっていた。
恐ろしいぐらいキレイに微笑みながら、怒れるマキ様は、怒ってるのに美しく妖艶に笑顔を崩さない。
ああ、そうだった。マキはナイフの前に平気で飛び出す奴だった…
つよし「ぎゃー!!マキさんはダメです!!」
マキ「ふふ♪やだぁー♪隠し事ぉー♪僕寂しいなぁ♪一緒のお布団で〝抱き合って〟寝た仲なのにぃー♪」
つよし「だだだだ抱き合ってません!マキさんが勝手に僕を抱き枕にしただけじゃないですか!」
ワタワタオロオロ、見た目は頼りない小動物つよしも、どうやらマキ様のヤバさを知っていたよう。
マキ「賢史さん僕とお茶でもどーお?」
賢史「そんなお色気ムンムンで誘ってきて、さっきは形が合わないとか言わなかったか?」
マキ「形が合わなきゃお話もしてくれないの?お話に見合ったお礼はできると思うけどなぁ♪」
つよし「マママッマキさん!やめて!」
艶かしく絡みつく女王様の誘いは、常人なら理性がぶっ飛んでるところだ。俺ですら女王様の意図が分かりながら、体が徐々に疼いて熱くなっちまいそうだ。
俺たちの刺激的すぎる言動に、つよしは真っ赤になりながら必死にマキを止めようとしてるがマキ様がそんなひ弱な腕で止まるわけ無い。
賢史「ふーん、良いねぇそれ」
百目鬼「良くねぇッ!!!」
おっと、嫉妬深いポンコツが来た来た。
激怒した神の落雷。
ビシャーン!!と空気を裂いて粉々の黒炭にするような怒鳴り声。誰もが縮み上がって沈黙するはずの空気。しかし、それをものともせずに、恐怖に滲む空気を一瞬にしてピンクの花で咲き乱れさせる魔性の声。
マキ「百目鬼さんだぁ♡会いたかったよ♡キャハ♡」
ヘラヘラして空気を意図的に変えたマキ。
怯えるつよしと青ざめる椎名さんを気にして空気をピンク色に変えて、猫なで声で甘える。
それは、その場の空気を読み取って、神が恐れられないように取った行動に見えたが…。
俺は見逃さなかった。神の姿を捉えた瞬間のマキの瞳は、愛しそうにフワッと綻んで花咲いて輝いた。
ヘラヘラ笑顔の下の、本当のマキの一瞬…。
百目鬼「ヘラヘラすんじゃねぇー!!」
マキ「百目鬼さんイライラしちゃ嫌♪僕が居なくて寂しかったの?可愛いなぁ♪僕も寂しかったよ♡」
ゴロゴロ猫が擦り寄るみたいにイラつく神に抱きついて、極上の笑顔で笑う。なぜだろう…マキのお尻から猫の尻尾がフリフリ神に甘えてるように見える…。
だが、神は、そのヘラヘラ猫なで声のマキがいつもの素直で可愛らしいマキじゃないとご立腹。
百目鬼「誰が寂しいって!?ゴロゴロ喉鳴らして纏わりつくな!!賢史なんか誘いやがって、貴様は閉じ込められたいのか!」
おいおい、神君言ってることがめちゃくちゃだよ。
寂しくないの?離したくないの?
賢史なんかって友情をないがしろにしすぎだぞ。
マキ「やった♪閉じ込もったらずっと一緒だね♪」
百目鬼「俺は仕事で忙しい」
マキ「えー、放置プレイ?」
百目鬼「プレイ言うな!!」
マキ「もう、怒鳴っちゃダメだよ、僕のお友達小動物ちゃんなんだから♪びっくりしちゃうでしょ」
百目鬼「俺が怖いのは生まれつきだ」
マキ「うふふ♪賢史さんとつよしがいつの間にかデートしたみたいだから、お話聞きたかったの♪」
百目鬼「また直ぐに首を突っ込みやがって…、賢史はオオカミだからお前の大事な友達が食われちまうぞ」
マキ「ねぇー、心配でしょ♪だからお話聞きたいの♪」
百目鬼「……ダメだ」
マキ「ケチ…。お腹すいたなぁ♪、今晩の夕食なぁに?百目鬼さんの美味しい手料理楽しみ♪」
百目鬼「朝お前が食いたがったハヤシライスだ」
マキ「ふふ♪怖いなんてウソウソ、可愛いよ♡」
百目鬼「おい、いい加減その可愛くないヘラヘラ笑いを止めろ」
マキ「ふふ♪」
結局イチャイチャしてるだけかよ!!
神が現れて怖がってたつよしも椎名さんも笑ってた。
神はこの歳で本当の両思いを経験してる。まだまだトリプルアクセルは健在だし、マキ様が本当に神の気持ちを信じて籍を入れるかはまだ先の話だが、今は、こうして不器用ながらに恋愛してる神を観れることにほっとしてる。
だから……
賢史「あーあ、飛んだ邪魔が入ったよ、女王様と二人っきりでデートできるかと思ったのに」
百目鬼「なんだと賢史、てめーみてぇな飢えた狼と二人っきりなんて冗談じゃない、さっさと相手を見つけろ!」
賢史「俺だって見つけたいよ。なぁ、女王様貸して」
百目鬼「マキは物じゃねぇぞ!」
からかうのが、やめられないんだよな
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