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キングの冒険2
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俺と百目鬼の戦いは長い。
朝は、隠し部屋から出てきた百目鬼が、ミケの餌と、俺の水と餌を交換する。
だが、百目鬼はいちいち俺を仁王立ちで威嚇する。
ドドン
百目鬼「キング、待て」
ドドン
えっらそーに…。と思いながら。俺はビシッと待てをする。なんせ俺の方が優位だから。フフン。
百目鬼「…、トイレも覚えて偉いな」
とーぜんだ!マキに褒めてもらうために覚えたんだ!俺は賢いってマキがいつも嬉しそうだから、マキが喜ぶなら、なんでもやってやる。俺、賢いから。
百目鬼「…ヨシ。食べていいぞ」
待ってました!!
ーガツガツガツガツ!!
百目鬼「お前、食いっぷりがマキそっくりだな、日に日に似てきやがる…。喉詰まらせんなよ、病院とか勘弁しろよ、マキが泣くぞ」
フン!そんなヘマするわけないだろ!フン!
お前はいちいち俺を馬鹿にして…モグモグ…睨みを利かしてくるけど…モグモグ…知ってんだぞ…ムグムグ…マキが俺に夢中だから嫉妬してるって…モグモグ…、でも…まぁ…、お前は顔は怖いし独占欲の塊だけど、モグモグ…、マキを笑顔に出来るし…、何より、飯が美味い!…ガッツガッツ!
百目鬼は、いつもカリカリするドックフード半分と、手作り飯を半分くれる。その手作り飯が美味いのなんの!!
百目鬼「毎回がっつきすぎなんだよ…ったく。さて、お次はマキの朝食だな…、目が覚めるまでに戻ってやらなきゃ…。ボソッ(あいつ拗ねるからな…)」
百目鬼はなんかブツブツ言いながら、テキパキ支度して、隠し部屋に戻っていく。
百目鬼〝は〟、凄く甘えん坊な奴みたいで、マキに引っ付いて回る。
前までは、朝ごはん作ってるところにマキが起きてきたりとか普通だったし、起きてこなくてもお越しに行ってたのに、最近は、朝食の準備が終わるとまた隠し部屋へ戻って行って、寝ているマキとイチャイチャしだす。
マキが目覚める瞬間から、眠るまで独占しないと気が済まないらしい。とんだ甘えん坊だ。
これじゃあ、マキ〝が〟大変だ。あの独占欲の塊の百目鬼の〝お守り〟をマキ〝が〟しなきゃならないなんて…心配だ。
マキ「…ん…、はぁ…神ひゃ…ん…」
百目鬼「おはようマキ」
マキ「えへへ…、神さんの腕の中だぁ…」
百目鬼「何を今更、起きろ」
マキ「チューしてくれたら起きるぅー」
百目鬼「絡むな、朝食が冷める」
マキ「…ちょっとだけでいいから…」
百目鬼「…。たくっ、それだけじゃすまねぇだろ」
マキ「えへへ…、んー♪」
百目鬼は、嫌そうな声を出しながら、そうなるって分かってて腕枕しに戻ってるくせに…、百目鬼って奴は本当に言葉と行動がチグハグの変な奴だ。
マキがプロポーズされたとはしゃいだ日からは、毎朝こんな感じで鬱陶しいくらい百目鬼〝が〟マキ〝に〟甘えてやがる。
そうなると決まって、秘密の部屋からミケが逃げてくる。
キング(おはようミケ)
ミケ(おはようキング、相変わらず食べるの早いわね、もう空っぽ)
キング(ミケさ、なんで毎朝ああやって百目鬼〝が〟マキに甘えてイチャついて追い出されるって分かってて、隠し部屋に行くの?)
俺が首をかしげると、ミケは、可笑しそうにクスクス笑った。
ミケ(……あなたには、百目鬼さん〝が〟甘えてるように見えるの?)
キング(甘えてるじゃん、あいつ、マキの側から離れないし、マキのこと大好きすぎじゃん)
ミケ(…、まぁ、そうね。マキには甘えることができてるわね)
キング(マキ、大丈夫かな…、最近秘密の部屋から出てくる時、だいたい百目鬼に抱っこされてソファーでぐったりしてるし顔赤いし、疲れて熱でもあるんじゃないかな?)
ミケ(…お子ちゃまね)
キング(なんか言った?)
ミケ(いいえ、なーんにも。あーお腹すいた、ご飯食べよっと)
ミケは仲良くなっても、澄ました顔で時々ボソボソなんか言ってる。絶対悪口だ。自分の方が色々知ってるからって、直ぐ鼻で笑うんだ。
暫くして、やっぱりマキは百目鬼にてる抱っこされながら出てきて顔真っ赤。あー、やっぱ具合悪いのかな?大学大丈夫なのかな…、最近マキが大学の話をしない。大学で何かあったのかな?
俺、心配だよ。
朝ごはんを食べ終わると、俺は自由になる。
隠し部屋以外は以外と自由だし、玄関からは出れないけど、家の中の内階段から二階の事務所に降りれるようになってるから、マキが大学に行っても、百目鬼や杏子や檸檬や矢田が構ってくれる。
百目鬼「杏子、俺はマキを大学に送ってくる。時間までには戻るから」
杏子「時間のことは気にしなくてもいいですが、そんな人殺しするみたいな形相で行ったら通報されますよ」
百目鬼「顔は生まれつきだ」
杏子「最近は優しい顔もできてるのに、朝に限って険しいですよ、そんなにマキちゃんと離れがたいですか?」
百目鬼「ちげーよ。あいつが無駄に可愛い色気を大量に振りまくからいけない、日に日に色香が増してやがる。あいつの色気にやられたモブ共がマキに何かする前に釘を刺しに行く、じゃないと危なっかしくて仕方ない…」
モブドモってなんだ?マキになんかする嫌な奴らなのか?マキが危険なのかッ!?
た、大変だ!大学ってそんな危険なところなのか!?
杏子「……、色気にやらるてるのは百目鬼さんです…」
百目鬼「ッ…」
杏子「威嚇して回るより、カッコイイ彼氏が居ると思わせた方が効果的では?怖い顔すれば、悪い奴に囚われてるんじゃないかと返って相手を煽るんじゃないっすか?」
百目鬼「…カッコイイなんて、俺にはないものだ」
杏子「出来る大人の人間だと思わせればいいんですよ。人間格上の人間には戦意喪失するもんです。それに、百目鬼さんはちゃんとカッコイイですよ」
百目鬼「……分かった。着替えてくる」
百目鬼は、スーツから着替えるために三階に戻っていく。杏子はニコニコ手を振ってたが、振り返らずに後ろのにいる人間に注意した。
杏子「こーら檸檬。声殺して笑うなら、ちゃんと声を殺しなさい、危なく百目鬼さんに聞こえるところだったでしょ」
檸檬「クックックッ、だって杏子だって杏子ッ、ククッ…、百目鬼さんってば、真顔で『可愛い色気』だってっ、ぶふふふ…」
杏子「いいじゃないの、喧嘩されてるより惚気られた方がいいでしょ」
檸檬「惚気すぎだから、ぶふッ…、好きすぎだからッ、くっくっ…百目鬼さん変わりすぎだから、あー、お腹痛い」
杏子「馬鹿ね、百目鬼さんは元々ああいう人よ」
檸檬「え?」
杏子「上手く表現できないし、本人諦めてしなかっただけ、懐に入れたらとことん甘い。だから、矢田ちゃんを雇ってるし、拾って来る動物の親を探してあげちゃうし、ミケなんか、可愛くなっちゃって自分で飼っちゃうし。まだ事務所が軌道に乗らない頃から私達を雇ってく保護してくれたりしたんじゃない。言葉にはしないけど、ずっとああいう人なのよ」
檸檬「……、それは知ってるよ。俺が言いたいのは、可愛いとか、綺麗とか、平気で言っちゃうんだと思って。だって賢史さんに散々軽いって注意してるじゃん」
杏子「…まぁ、マキちゃんが可愛いのは事実だから、百目鬼さんはお世辞は言わないだけだから。…最近のマキちゃんが益々可愛いのは、百目鬼さんのせいなのにね」
檸檬「あははは。そっか、マキちゃん可愛いから仕方ないもんね、あははは」
杏子と檸檬は仲のいい姉弟。いつも明るくて楽しそうで息ぴったり。俺にも兄弟いっぱいいたけど、母さんのオッパイ取り合って踏んだり蹴ったり当たり前だったから、ちょっと羨ましい。
矢田「おはようございやす!杏子さん!檸檬さん!お茶っぱ買って来やした!」
あっ、うるさいのが来た。
こいつ、前、間違えて俺にキャットフード食わそうとした奴だ。
杏子「矢田さんご苦労様。そういえば百目鬼さんが車出すって」
矢田「おでかくですね!了解しやした!シャッター開けて暖房つけときやす!」
ビシッと敬礼した矢田が、慌てて一階に降りていく。
下には車があって、百目鬼はその車でマキを大学に送っていく。
ヨシ!矢田が相手なら上手く車に潜り込めるかも!
マキを虐める〝モブドモ〟を俺が退治してやる!!
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