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キングの冒険14
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俺が、タッパに入った丼や、貰ったおやつを食べ終わって満足した時、マキは後部座席に横たわってグッタリしていた。
あれ?いつの間か百目鬼が運転してる。
ハッ!マキが倒れてる!百目鬼に食べられちゃったんだ!だ、大丈夫か!マキ!
マキ「はぁ…、はぁ…、はぁ…」
マキのうなじにはクッキリ百目鬼の噛み付いた痕が刻まれていて、顔は真っ赤なままで瞳はとろんとして虚ろにどこか見て。呼吸は苦しそうな荒い吐息を漏らしてた。
ぎゃー!!俺が食いモンに気を取られたばっかりに、マキが真っ赤っかで苦しんでる!!どどどうしよう!百目鬼に喰われちゃったんだ!!どこが痛いのマキ!?
俺が慌ててマキの腕に擦り寄ると、マキが俺に気がついて潤んだ瞳でこっちを見た。
マキのさっき乱された洋服は綺麗に整えられてたけど、マキの顔はまだ赤くて乱れた吐息が苦しそうで、そんなマキを心配なはずなのに、その乱れた吐息と潤んだ瞳に、胸の奥がムズムズしてきて俺まで顔が熱くなって来て、何だか恥ずかしい。なんか見ちゃいけないものを見てるような…。マキの顔を直視できない。
なんかドキドキする。
マキの手が俺に伸ばされて、俺は、マキの顔を見ないようにその手をペロペロ舐めた。
キング「クーン、クーン」(マキ、大丈夫?)
マキ「……」
マキは俺に『大丈夫だよ』って答えるように、ちょっと力の入らなそうな手で俺の頭を優しく撫でた。
本当に大丈夫か?どっか痛いとこないか?
百目鬼の奴酷いな!直ぐ怒るんだ!怒りん坊で心が狭い!むつが悪いのにマキを怒るなん……
マキ「……」
…マキの潤んだ瞳がキラキラして、表情がふんわり綻ぶ…
何だか幸せそうで、綺麗で、とても艶っぽくて…
百目鬼に噛みつかれたり怒鳴られたり食べられたりしたのに…
…何だか嬉しそう……
*********************
ーブロロロロ……
ーバン!
百目鬼事務所に着くと、百目鬼は眉間にシワを寄せたまま俺の首根っこを掴み、マキを軽々肩に担いで階段を登っていく。
車の音で百目鬼が帰ってきたことに気が付いた矢田が、二階の事務所から顔を出した。
矢田「百目鬼さんお帰りなさ…」
百目鬼「悪いが三階に居るから、用事は携帯に連絡してくれ」
矢田「な、何かあったんですか?」
恐る恐る聞く矢田に、百目鬼の背後で再び怒りの火山が地響きを立てた。
ーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
百目鬼「〝躾〟し直してくる」
矢田「ッッッ!!…」
百目鬼の怒りの活火山がグツグツ今にも噴火しそうに滾ってて、矢田はビビってドアの陰に隠れちまった。
矢田の後ろから不穏な空気を感じ取った杏子と檸檬が顔を出したが、怒りの背中に連れ去られる俺とマキを見送ることしか出来ず、助けてはくれない。
あぁ…杏子ぅ…、檸檬んん…、た、助けてぇぇー…。
助けを求める俺の声は虚しく響くだけで、階段を登りきった百目鬼が、俺とマキを三階自宅に連れ込んで玄関を乱暴に閉めた。
ーバン!!
耳を塞ぎたくなるほどの乱暴ぶりに続いて、今度は百目鬼が俺をリビングのゲージに放り込む。
痛っ!もっと優しくし…
抗議しようとした俺の勢いは、百目鬼の鬼の様に恐ろしい顔で睨まれて、失速、早々に尻尾を丸めた。
百目鬼「お前は大人しくしてろ…」
ヒィッ!!
ギロッと睨み殺されそうな勢いに、お利口に伏せる俺を見て、百目鬼はマキを担いだまま風呂場に消えた。
マキ『待って…、待って神さん…、アッ!…』
直ぐにマキの嫌がる声が聞こえてきたが、百目鬼があそこまでキレてちゃ、俺にはどうすることもできない。
ごめんマキ、ごめんマキ…
ぶるぶる震えることしかできない情けない俺。
そんな俺の元に、音もなく影が近づいてきた。
リビングの光が遮られ、ふと見上げると、そこには、椅子の上に立ってこっちを見下ろしてるミケが居た。
キング(ミケ!大変なんだミケ!マキが…)
叫んだ僕の呼びかけに、ミケはストンと降りてきて僕の入れられたゲージのそばまで近づいてきてくれた。
キング(ミケ!マキを助けてあげて!百目鬼がマキを虐めて…)
ーバチーン!!
マキを助けて欲しくて必死に訴えたけど、ミケは怪訝な顔で僕に近づいて、突然、痕が残るほど思いっきり猫パンチを炸裂させた。
キング(ッ!!…?!??…。
…ッ!…いってーな!!)
ミケ(痛くて当たり前よ!痛い様に殴ったんだから!!あんたなんか!あんたなんか!)
キング(イテッ!イテッ!イタタタッ!!)
ミケの猫パンチが何度も何度も叩き込まれて、俺、ボコボコ…。
なのにミケは、涙目で何度何度も俺を叩きながら、また泣きそうになってる。
ミケ(あんたなんか!あんたなんか!……ッ!
無事で良かったんだからぁああー!!!)
ーバチコーンッ!!
強烈な猫パンチ…
ッッ!!
俺、ノックアウト…。
ミケ(馬鹿なあんたの心配なんかしてないんだからぁぁ!!フン!!)
うぅ…
ミケ…、
俺…
今……無事じゃなくなりました。
ガク………
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