アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ー芽生え歌うーその後5
-
重ねられた唇は慰めるように優しく、そこから熱く絡められた舌が、戸惑いの色を濃くしながら、どう優しくしたらいいのかと迷いながら優しく優しく絡めてなぞる。
困り顔の神さんの、甘やかすような優しいキスは、なんだか甘いのに切ない。
マキ「ぁ…ん……、じ…ん…さん?」
百目鬼「…ッ…、すまん」
悲しそうな瞳が固く閉じて眉間にシワが寄る。そのしわくちゃのシワが小刻みに震えて…
見てるこっちが胸が痛い。
マキ「どうして謝るの?」
顰められたシワが可哀想な程の震え、やがて体全体に広がって神さんの大きな体が怯えてるように見えた。
マキ「神さん…、泣いてるの?」
百目鬼「すまん…マキ…」
神さんは、悲しそうな瞳で何かを堪えるように力の入った目を細め、切なげな悔しそうな表情で謝る。
その瞳に涙はなかったけど、今にも泣きそうな顔だと思った。
百目鬼「お前を、修二の代わりだなんて言って悪かった」
えっ!?
何?いつの話ししてんの?
百目鬼「あの時、あんなこと言ったが、お前と修二は違う人間だ、代わりだなんて思った事は一度もない。今更こんなこと言っても信じてもらえないかもしれないが…」
マキ「ちょっ!、待って!。信じるも何も、神さんが僕を修二の代わりに思ってるなんて思ってないよ、僕と修二じゃ比べものにならないもの」
百目鬼「……お前と修二は似てる。意地っ張りなとこも、甘え下手なとこも、綺麗でまっすぐなところも…」
似て…
綺麗?
百目鬼「だけど、似てるけど違う。修二は修二、お前はお前だ。お前と修二は似た考え方と感性を持ってるかもしれないが、導きだす答えは違う。修二は保守的だが、お前は挑戦的で平等だ。なのに、自分のことは二の次三の次…」
なんで急にそんな昔の話を持ち出すのか不思議で、瞬いた瞳に、神さんはそんなことが言いたいんじゃないと首を振った。
百目鬼「あの時は、お前を遠ざけるためにああ言った。自分を犠牲にするばかりのお前を守れないことから逃げ出したんだ。だから、お前を傷つけた。お前が1番気にしてるだろうことをわざと言った。修二の代わりだとか、要らないとか、…本当にすまない。今更こんな風に謝っても自己満足に過ぎないのは分かってる。一度言った言葉は取り消せないし、傷つけた傷は消えない。本当にすまないことをした…」
思いつめたように深々謝られても、なんで今その話なのか分からない。僕なんかまずい反応した?
マキ「な、なになに!?謝らないで、僕、神さんが僕を修二の代わりにしてたなんて嘘だって知ってたし、そのことについてはもういいよ、今、一緒にいるじゃん」
どうして急に、別れた日の話をしだしたのか見当もつかない。
修二への罪悪感を感じながら、過去に好きな人を今も好きなんだと翼君の発言を気にして、僕を遠ざけ気遣ってくれてた。それが嬉しくもあり、無理されて寂しかったりしたけど…
百目鬼「お前は気にしてる」
神さんは、壊れ物を触るように優しく頬を撫で、大きな指が首筋に触れる。
百目鬼「お前に恐怖を植え付けた」
マキ「……」
悲しく戸惑う瞳、優しくしたいのに出来ないと、撫でる事しかできないと…、戸惑ってウロウロする事しか出来ない耳の垂れ下がった可哀想な子犬のように…。
だけどその心は、ああでもないこうでもないと不器用な優しい言葉で溢れてるのに。
僕はちゃんと分かってるのに…
百目鬼「あの時、あんなことを言って本当に悪かった」
マキ「…謝らないで、もう気にしてないから。神さんは約束してくれたから」
百目鬼「いいや、謝らせてくれ。こんな酷い男に捕まったんだ、お前は修二の代わりなんかじゃない。お前はお前だ。俺にとって〝絶対必要〟な存在だ、お前を解放してやる予定は、たとえ死んでもない」
真剣な眼差しに射抜かれ、心臓が跳ね上がった。
さっきまでの自信のない悲しそうな瞳の色はなくなってて、揺るがない強い意志を宿した瞳が僕を見つめ、近づく。
マキ「ッ…、神さんは…酷い男なんかじゃ…」
強い眼差しの中に燃え上がる熱いくらいの熱がメラメラと焼けて…
鼻先が触れて吐息がかかると、僕の胸はドキドキが止まらず、その唇がまた重なるのを待ちわびる。
切ないまでの感情に悩みながら、熱い腕に抱かれるとドキドキと今更ながらに緊張して、焦がれて、求めて、ドロドロになるまで抱かれて、…その独占欲に安心する。だから神さんは、何も迷わないでいい。酷くなんかない、捕まりたいのは僕だから、だから…
マキ「酷くない…僕は…」
もっと…
もっと強く抱いて閉じ込めて…
もっと…
百目鬼「いや、酷い男だ。お前に謝りながら、この後どうやってお仕置きして泣かせような考えてる」
マキ「…えっ…、お仕置き?」
泣きそうだった瞳が、もう離さないと強く誓ってくれたと思ったら、その瞳はすでに、嫉妬に焼かれていた。
百目鬼「俺がいない間に男と2人っきりになったな」
ギロッと睨まれ、驚いた。
だって、男って…
マキ「え、あ、翼君のこと?高校生だよ?!」
百目鬼「高校生だろうと男は男だ。俺がわざわざ遠ざけたのに、連絡先まで交換しやがって、襲われてーのか」
マキ「ええ¨っ!襲わないよ!翼君どお見ても童貞だし!男に興味あるんじゃなくて漫画だけだって!」
真面目な顔で翼君に嫉妬?。
ありえないのに、翼君はまだまだ子供で、そんなことありえないのに。
百目鬼「ノンケもその気にするような魔性マキ様がよく言う」
マキ「あはは…、そんなこと言ったっけ…」
百目鬼「その身をもって証明済みだろ、モブ取りホイホイが。
俺がお前を傷つけ、不安や隙を作る原因を作ったことは、心から反省して謝る。その責任は一生を使って取る。だが、忘れるな、俺は自分勝手に嫉妬してお前を監禁したいと思ってる身勝手な男だ。お前を傷つけたことを悪いと思いながら、お前が男と会ってたことに嫉妬して、どんなお仕置きをして泣かせようかと考えるような酷い男だ」
静かに燃え上がった炎は、あっという間に燃え広がり、僕の逃げ場を塞ぐ。
壊れ物を扱うように触れていた神さんの大きな優しい手は、〝逃がさない!〟とはっきりとした意志を持って僕の顎をすくい上げ。
唇に噛みつきそうな程の、触れるか触れないかの距離にありながら、その嫉妬と独占欲は僕の全身を捉え、ゾクゾクするほどの快感で独占する…。
マキ「…お仕置き…して、神さんに独占してもらえるお仕置きなら、僕はいくら泣かされても嬉しいから…」
百目鬼「糞が…、そんなこと言うんじゃねぇ。俺は泣かしたくないんだよ。自分の中のケダモノにお前を喰わしたくない。好きなやつを大事に大切に、幸せな顔して笑っていられるように出来る男になりたいんだ」
マキ「僕は幸せだし、笑ってるよ。それに、僕は、神さんのことでしか泣かない。…きっとこの先も、いっぱい泣くかもしれないけど、神さんといると嬉しくて、カッコイイ神さんが好き過ぎて勝手に涙が出てきちゃうんだ」
百目鬼「…ッ、糞苦労して努力して制御してるってーのに、…てめーは、そんなに俺を調子付かせてキレさせたいのか…」
マキ「神さんも酔っ払えばいいのに、酔って後先考えないで全部吐き出せばいいんだ。恥ずかしいことも全部言葉にしちゃえばいいんだ。そしたら僕が、神さんの恥ずかしいところも、不満も、ケダモノさんも全部ギュッて抱きしめるのに」
全部好きなんだ。
独占欲も嫉妬も獰猛な猛獣さんも…
不器用で葛藤して頑張る姿も…
優しくて誠実なのに3回転半捻っちゃってその優しさが生かされない所も…
可愛くて可愛くて…
マキ「僕だけ酔っ払って恥ずかしいとこ見せてるなんて不公平だ」
百目鬼「…………とっくに恥ずかしいことになってんだよ」
マキ「え?」
百目鬼「うるせぇ、今晩寝れると思うなよ」
ブチ切れた神さんは、いつも情熱的に抱いてくれる。
だから、それが乱暴だなんて感じたことない、噛みつかれるようなキスも、貪るような激しい突き上げも、全部気持ちいいし溶けちゃう。
僕を無茶苦茶激しく抱く神さんは、本人は無自覚だけど、回を重ねるごとに理性が飛ぶ時間が短くなってて、僕をドロドロに溶かしてしまおうと意地悪をする。
耳元で可愛いと囁いて、俺のものだと言って抱きしめてくる。
そうなると僕は我慢出来なくて、失神するほど感じてみを震わす。
だけど神さんは、今日はもっと強力な一言を僕の耳元で囁いた。
僕を萌え殺す気満々で…
マキ「あぁ…、神さん…、イイッ…、おっきいの熱くて僕の中いっぱい…ッ…あん!おかしくなっちゃう」
百目鬼「…ッ、俺は…、とっくにおかしくなってるんだよ。お前に酔っ払ってとっくに恥ずかしいことになってる。だから足りねぇな、もっとおかしくなって恥ずかしいとこ見せろよ。俺が好きだってもっと叫べばいい、俺の方がお前を好きなんだからなッ」
マキ「ッ!!!!ーーーーー!!!!」
百目鬼「いいね、もっと恥ずかしがれよ、余すところなく食ってやる」
牙を剥いたその獰猛な猛獣が、僕の肩に牙を立てず、鋭い牙を隠して、僕の唇に甘く噛み付いて喰らい尽くす。
マキ「ッ!ンゥ!ンンッーーー!!!!」
神さんがそうするから、そうなる。
僕の体に残るのは甘い快感と、
強く抱きしめくれるような束縛
激しい情熱を注いでくれるから
その腕に監禁されて安心する
嬉しい雫が溢れて止まらないけど
努力は種を根付かせ芽生えた
刻まれた証は、信じられず肩に縋る痕ではなくて
体に散りばめられた紅色の花びらたちだけ…
.
【芽生え】ーENDー
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
976 / 1004