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晩餐⑧
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「そうだね…。実際、湊はずいぶん君をかわいがってるようだけどね。…で、話を戻すけど、ここは、ペット同伴で愉しむ、大人のレジャーホテルみたいな所だよ。」
「レジャー…ホテル?」
「あぁ。ほら、家族向けのレジャーホテルのCMがよくTVで流れてるだろう?ホテルにプールとか温泉とかゲームセンターとかがあって、食事はバイキングで食べ放題で…っていう、滞在型のホテル。ここは、その大人版ってとこだ。」
「ホテル… ですか?」
「そう。でも、完全会員制だから、CMはしないし、誰でも利用できるわけじゃない。会員資格の審査は、ブラックカードの審査より厳しいよ。審査に通ったら、それなりの入会金と年会費を払って会員証を手に入れる。」
夏樹が、カードをコウタに見せた。
「これが、会員証。滞在中はカードキーにもなる。」
「…真っ白。なにも書いてないんですね。」
あぁ、やっぱり、この子は聡いな。
「そう。それが重要。良いところに気がついたね。ここは、ほら、あんまり健全な遊び場とは言えないだろう?」
「健全の定義によると思いますけど。」
コウタは、クスッと笑った。
「そうだな。…君はここ、気に入ったの?」
「俺は、どうでも…。湊さんがこういうの好きなら、俺も好きです。」
「へぇ。そうか…。そうだね。君はそれでいいよ。…でもね、そういう関係が、世間一般では不健全って言われるんだよ。」
「世間一般って…。そんなの、別に…どうでもいいですよ。」
「君は学生だし、まだ世間とか社会を知らないもんな。でも、ここの会員はそれなりの地位のやつばかりで、こういう…趣味と言うか… 嗜好というか…そういうのを周りに知られると、マズイやつも多いんだよ。」
「ふぅん…。大人って大変ですね。」
「そうだね。でも、ここは、そんな大人の秘密の遊び場なんだ。だからね、ここには名前がない。建物にも、組織にも、名前がない。だからカードも真っ白。名前がないから、存在が知られることもない。だって、ないんだから。」
「……でも、名前がないと、不便じゃないですか?」
「そうでもないよ。みんな勝手に好きに呼んでる。森 とか 別荘 とか。 週末は森に行こう、とか、別荘に行こう、とかね。これだと、もしも誰かに聞かれても、おかしくないだろう?」
「あぁ…。たしかにそうですね。すごい。頭が良いんですね。」
「そうだね。ここを作った人が、そうなんだろうね。」
頭がいい…か。学生らしい感想だ。
夏樹は、アハハと声を上げて笑った。
「というわけで、ここは、不健全な大人達の秘密の遊び場だ。遊び場とは言っても…、純粋に楽しむためだけに来ることもあれば、ペットの躾やお仕置きのために利用することもある。ここは、いろいろと設備も整っているからね。」
「へぇ… 」
コウタはそれだけ言って、急に大人しくなった。
難しい顔をして、ぼんやりとテーブルに視線を落としている。
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