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晩餐⑨
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「どうした?考え事かな?」
「えっと… 。」
「気になってるのは、君たちの、今回の利用の目的は何なのか…ってとこかな?」
「…はい。俺は… もしかして罰を受けるために、来たんですか?」
だとしたら、最悪だ。
俺は、罰をきちんと受けられなかったということだ。
それじゃあ、もう、赦しはもらえない。
「あはは。罰を受ける心当たりがあるの?」
夏樹がからかうと、コウタはふっと小さく息を吐いた。
「…はい。俺はいつも、湊さんが求めるようにはできなくて。全然ダメなんです。」
「そうかな?そんなことないと思うけどな。それに、君はお仕置きのために連れて来られたわけじゃないよ。」
「じゃあ… なに?」
「ここはね、会員になれるのは、オーナー…つまり、飼い主の側だけなんだ。ペットはオーナー同伴でないと利用できない。そのペットも、どんなやつでも連れて来ていいってわけじゃない。ペットとして連れて来て良いかは、飼い主以外の2人の会員の承認が必要だ。」
「ふたり… ? じゃあ、今日は… 」
「そう。君は、その承認を得るために、ここに連れて来られて、俺と亨さんにお披露目された。もちろん俺は承認するから、あとは亨さんの承認がもらえれば、君は正式にペットとして登録できる。」
「亨さん… あの人が… 承認してくれなかったら?」
コウタはさっき、亨の前で、湊に言われたことをちゃんと出来なかった。
何が承認の基準なのかはわからないが、コウタには自分がうまく振る舞えた自信は全くない。
あれで、亨さんは俺を認めてくれるのだろうか。
「そうなったら、ちょっとマズイことになるな。規則では、誰かに断られても、他の誰かに承認を得られればいいことになってはいるけど… あの人は普通の会員じゃないからな。」
「普通じゃない?」
「あぁ。亨さんは、ここのルールみたいな人だ。実際のここの所有者は他にいるらしいけど、表向きは、あの人がここを仕切ってる。だから、亨さんが決めたことに異を唱えることなんて、誰にもできないよ。」
「そんなに…すごい人なんですか?じゃあ、亨さんが、俺はダメだって言ったら…?」
実際、ダメな所しか見られていない。
今日がそんなに大切な日で、あの人がそんなにすごい人だと知っていたら、もっとうまくやれたのに。
「あの人が認めなかったペットを承認するやつは、いないだろうな。…俺は承認するよ。でも、俺だけじゃあ足りない。」
「もし、そうなったら… 俺は湊さんに捨てられますか? 」
「そんなに心配そうな顔しなくていいよ。亨さんは、多分承認する。あの人は、そういう人だ。それに、君はそう悪くはなかったよ。」
夏樹は、あの時の亨の様子を思い出していた。
少し気にかかることはあるが…、もし亨さんが湊をよく思っていなかったとしても、あの人はそんな私情で判断を下す人ではない。
コウタの素質は、亨さんも見抜いたはずだし、そうであれば、コウタを認めない理由はない。
心配は、むしろそこにある。
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