アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
亨さん⑤
-
「まぁ、こっちはそんな感じです。…亨さんの方は?」
「ん?湊のことか?佑斗のことか?」
「どっちでも。亨さんが話したいことを聞きますよ?」
悠然と答える夏樹に、亨は眉をひそめてゆっくりまばたきをした。
「お前のそういうところが… 敵を作るってわかってるのか?」
「敵ねぇ…。蹴散らしますよ、そんなの。…でも、そんなことしなくても、俺には亨さんという鉄壁の防御壁がありますけどね。」
「おいおい。私がいつ、お前の防御壁になったんだ?」
夏樹がもっと若い頃は、亨が多少、裏で手を回してやることもあったが、今はもう、その必要はない。
夏樹の生意気な態度は目に余ることもあるが、そんな態度をとるだけの実力もある男だ。
夏樹の経営するIT関連の会社は、ここ数年で飲食や小売り、不動産と、次々に手を広げ、そのどれも、好調だと聞いている。
強引で思い切りのいい経営手腕で知られている今の夏樹を、敵に回そうとする者は、そうそういない。
「あれ?違いましたっけ? …まぁ、俺のことはいいです。 …で、今夜のことは、どこまで、亨さんが仕組んだんですか?」
「仕組んだ?随分な言い草だな。私は何も仕組んだりしていないよ。」
こうなるんじゃないかと予想はしていたし、それを期待してもいた。
でも、どうやって仕組むと言うんだ?
失敗したのは、夏樹だ。
夏樹だって、そんなこと自分で分かっているだろうに…。
自分の失敗を棚に上げて勝手なことを言っている夏樹に、亨が笑いを噛み殺すと、夏樹が不満そうな声を出した。
「へぇ…。何も…ね…。」
「大体、こうなったのは、夏樹がやったことだろう?お前がもう少しスマートにできていたら、何も問題なんてなかったはずだ。…むしろ、お前が仕組んだんじゃないのか?」
そんなわけないのは、分かっている。
夏樹は、そんなことしない。
ただ、コウタに夢中になってしまっただけだ。
……でも、そのおかげで、全て亨の思惑通りに進んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
179 / 463