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佑斗について⑥
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「だったら、リクが、ふたりまとめて面倒みればいいじゃないですか。亨さんだって、さっき俺にそう言ったでしょ?」
「それはそうだが…佑斗は少し難しくてね。お前か私じゃないと無理だ。」
「なんですか、それ…。だから、俺は… 嫌です。絶対。」
夏樹がきっぱりと首を横に振ると、亨はわざとらしく困った顔をしてうなずいた。
「わかったよ。無理にとは言わない。佑斗は私が引き受けるよ。それがお前の意向だと言えば、他のやつらも文句は言えないだろう。」
亨は困った顔のまま、でも素っ気なくそう言った。
「あーーあ…。でたよ…。そうやって、俺のせいにするんですね?俺を脅すんですね?……まったく… 分かりました。佑斗は俺が預かります。」
亨は困り顔から一転、晴れやかな笑顔を夏樹に向けた。
「そうか。そうしてくれると、助かるよ。」
ニコニコと笑う亨は、本当に憎たらしい。
いつだって、最後には、全て亨の思惑通りに事が運ぶ。
亨には、夏樹のような強引さはないが、その分、夏樹の数倍はしたたかだ。
「でも、だったら、全部俺のやり方でやらせてもらいますからね。口出し無用ですよ?」
「あぁ。わかっているよ。お前に任せるさ。でも、あまりいじめすぎないようにしてくれよ。」
「さあね。そんな約束はできません。とにかく、一切口出ししないで下さい。 あ…それと。もうひとつ…条件があります。」
夏樹はふと思いついて、そう言った。
黙って全部、亨さんの思い通りになんてさせてたまるか。
条件があると言った夏樹に、亨はクスクスと笑った。
「条件って… なんだ?」
「佑斗は俺が引き受けます。そのかわりひとつお願いしてもいいですか?」
「何?」
「湊の教育は俺がします。でも、表向きは、湊のトレーナーは俺じゃなく亨さんってことにしてもらえませんか?」
それだったら、湊は圭介とリクに次いで5番手ということになる。
佑斗はもう二度と、湊に手を出すことはできない。
「面白いことを思いつくなぁ。だったら、リクと圭介にはお前が話せよ。あいつらが納得するのなら、それで構わないよ。」
俺と亨さんで決めたことに、あいつらが反対するわけがない。
むしろ、あいつらだって、その方が気が楽なはずだ。
ふたりとも、湊には散々世話になってる。その湊を下っ端にしておくのは、何かとやりづらいだろう。
とりあえずは、これで安心だ。
「コウタは?どうしますか? 」
「書類を、揃えておくよ。最後にあの子が署名すれば、終わりだ。」
まぁ、そうだよな。
反対する理由はない。
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