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いや、
そんなはずはない。
無意識のうちに、拳を握りしめていた
「ま…‼︎ じま……‼︎
おい?どうし 「ただいま戻りましたー!」
ハッ
ぐるぐるしていた頭を冷ますように
オフィスに響いた声がスッと入ってきた
よく覚えてる、俺が1番好きだった声
「おー、おつかれー!どうだった?」
「そりゃあもう、ばっちりですよ ♪」
ーよくやった北岡
ーあそこ大手じゃねえか
よく落としたなあ!
ーお疲れさま
ーおい、今日打ち上げしよーぜ!
取引先と上手くいったのか、先輩達は盛り上がっていた
俺はというと、内心それどころじゃない
もう、会わないために上京したのに
真斗を好きな事、忘れようとしてたのに
なんでここにいるんだよ…‼︎
考えたって仕方ないことは分かっているけど
それでもなんの解決にもならない疑問ばかりが頭の中を支配した
「あれ?!
怜衣? 怜衣だよな??!
うちの新入社員てお前の事だったのか!
びっくりした!」
相変わらずの笑顔とスキンシップで
俺の気持ちなんてまる無視だ
勢いよく肩を抱かれ、いてぇよ なんて笑い合う
懐かしい…この感じ
「あれ?お前ら知り合いか?」
部長を始め、全員が驚いた表情で俺たちを見比べる
「そうなんです! こいつとずっとサッカーのチーム一緒で、仲良かったんですよ! な、怜衣」
「まさか、真斗が同じ会社だったなんで
俺もびっくりです」
本当に驚いた
でもここは会社だ。動揺している場合じゃない
ちゃんと諦めたんだろ
しっかりしろ…、俺…
「そっだったのか!
でも、会社では一応先輩だから"北岡さん"、な 」
"北岡さん"
小さい頃から呼び慣れていた呼び方を部長に訂正され、距離ができたような…
なんだか寂しい感覚になった。
いや、
距離が離れて丁度良かったじゃないか。
雑念を振り落とし、ポジティブに考える事にした俺は
頭を切り替えて、いつも通りの笑顔で返す
「はい、よろしくお願いします
北岡さん」
「おー!よろしくな!」
昔みたいに頭をわしゃわしゃされ
大好きな笑顔で返された俺はドキッとした心に
気付かないフリをすることにした
ーおい、後輩できたからって調子に乗るなよ!
ー成績は良いけど、お前も俺らからしたら後輩だからな!
ー分かってますって!
ていうか片瀬さん、さっき打ち上げって言ってましたけど
先輩!ありがとうございます!
ーは?何言ってんだよ!俺の奢りじゃねえぞ!
先輩達の仲よさそうな話が聞こえる
ーーーーきっと大丈夫。
俺ももう大人なんだ。
上手くやれる。
必死に言い聞かせ、これからの仕事に気合いを入れた
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