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「なんだ、いい会社で良かったじゃねえか!」
「俺が悩んでるのはそこじゃない」
夜、仕事も終わり
いつものように路地を抜けた先にある地下のバーに顔を出していた。
言いたい事は分かってるくせに話を逸らす千晃を睨む
コースターと一緒に差し出されたドリンクに違和感を感じながら、一口飲む。
「げ、やっぱり
これ、ただのジンジャエールじゃん。酒出せよ酒」
悪態つきながら、カウンターの向こう側にいる
千晃に コースターごと押し返す
あとつまみも。と図々しく追加する
「お前なあ、社会人なったんだから、
少しくらい酒控えろ」
飲み始めたら 底なしだろ
そう言いながら、またもグラスを俺側に寄せる
「明日は休みなんだからいいんだよ
はい、なんでも良いから お・さ・け 」
わざと上目遣いでぶりっ子頼む
千晃には効果てきめんだ。
ったく、そのキモい顔やめろ
案の定、呆れ顔をしながらも、ちゃんと作ってくれる千晃は 俺の母親の兄、つまり叔父にあたる人で
ここで、ゲイバーをずっとやっている
ゲイバーって言っても、普通の客も来るくらい
雰囲気の良い所で、俺も気に入って入り浸っているほど
千晃の聞き上手なところも、客に信頼される理由の1つだと思う
俺も自分の性癖に気が付いた時から、相談に乗ってもらってて、親戚のおじさんと言うより、兄貴に近い存在
大学の間もずっと、何かあれば千晃のバーに来て
酒飲みながら愚痴ってた
見た目は、肩くらいまで伸びた明るい髪を、上の方だけまとめてて、服もbarのマスターと思えない適当すぎる格好だ。お世辞にもちゃんとしてるって言えない、ニートみたいな風貌だけど、意外に頼りなる人だ。
本人には言わないけど。
「なになに〜?
怜衣の職場の話??良い男いた?
あ、マスター俺いつもので」
そう言いながら当たり前かのように俺の隣に座る
こいつは、ナギ。
上の名前も漢字も知らない、
このバーで知り合った中の1人だ。
「営業部ってイケメン揃いってイメージ!
いいなあ怜衣、選び放題じゃん!」
そう言われてみれば…
真斗に気を取られてて、そこまで頭回ってなかったけど
全員女にモテそうだったな…
「あっちはノンケなんだから手出すわけ無いだろ
あ、でもすっげえ美人の先輩いた。女だけど」
藤堂さんの事だ
彼女は誰が見ても美人だった
きっと会社でも取引先でも人気ありそうだな…
それこそ選り取り見取りじゃねえか
うわ、羨ましすぎる…
そんな事を考えていたら、ずいっとナギの顔が視界に入ってきた
「ちょっと! もしかしてその美人に惚れたの?
だめだよ、怜衣にはこっち側にいて貰わなくちゃ困る!」
甘えるようして、俺の右腕に絡みつく ナギ
さっきの俺のとは比べ物にならない上目遣いで。
自分の武器を分かっている
「はいはい、分かってるって」
いつものように優しく頭を撫でて 額にキスをする
そうするとナギは満足そうな顔をしてから
すぐに、物欲しそうな顔に変わった
「ねえ、怜衣…
今日は…? だめ…?」
甘える口調と、少しだけ不安そうな顔で
控えめに見つめてくる ナギ。
どこか冷静な目で 感心しながらも
いつものように2人でバーを出た。
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