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「だーかーらっ!」
何度言えば分かるの!!と怒りを露に付け加えたのは俺の友達、嶋田 俊哉(しまだしゅんや)。コソコソと教室の隅っこで話をしているのだが、コソコソと話をしなければいけない話など、お前とはしたくない。
「俺も何度も言ってるけどな、お前の話は分からねぇし、これからもぜってぇ分からねぇ。断言してもいい」
「断言しなくていい!」
「いや、する」
「いい!」
「はあ、」
なんの意味もない言い合いに呆れる。今問題なのはそこじゃねぇし、とんでもなくどうでもいい事だ。なのに目の前のコイツは真剣な顔つきで答えてくるから、どうしようもねぇ。
「いいか? 何度も言わせてもらうが俺はノーマルで男に興味ない。言ってる意味、分かるか?」
お前日本人だよな?馬鹿にしたように指で頭をコツコツと叩く。
「わかってるよっ。だけどね、不良×平凡って萌えるんだよっ? 潤ちゃんこそ分かってるの? たまたま不良くんに平凡くんがぶつかってしまって、不良くんは最初怒るんだけど、ちょっかいかけていく内に平凡くんの事が気になり始めて、それから二人は互いに意識し……そして遂にはっ!」
俊哉は悶える。それを冷たい目で見る俺。
「ああ! これぞド定番っ、ぜひ生で見たいっ! ぬぉぉおおっ!」
ありがとう!と天を仰ぐ俊哉に呆れて言葉が出ない。何がありがとうだよ。俊哉の妄想だろうが。
「はぁ~」
大きな声でため息を吐いたのは当て付けだ。今更、俊哉は気にしない。
見て分かると思うが、俊哉は腐男子ってやつらしい。最初は腐男子ってなんだよって思っていたが、コイツといるとなんとなく分かってきた。分からなくて良かったと後から思ったって既に遅し。知らない方が幸せと言う事もあるが、まさにこの事だな。
「平凡で悪かったな」
「なぁにおっ言ってるんだね! 潤ちゃんよ! それが君のいいとこだよ! ハァハァハァハァ」
「ハァハァうるせーよ」
興奮しすぎて息切れしている俊哉にガシッと肩を掴まれ、引く。身体も心も。むしろ引く、かなり引く。
「キモイ、離せ」
冷たく言い放つと、ぐはっ!と言って倒れ込んだ。なんなんだ、コイツは。一体どこで頭ん中の大事なネジを落としてきたんだ。拾ってやるから教えろ。
「平凡のくせに気が強くて口が悪いなんて…」
あ?悪口か?そう思い女座りして倒れこむやつを見下ろすと、ゆっくり右腕を上げた。そして親指をグッと立て最高っ!と一言。
「……くたばれ!」
右足で思いっきりヤツの足を踏みつぶす。痛いっ!と言いつつも何処か夢心地な俊哉は、また自分の世界に入りやがった。ぶつぶつ呟きながらニヤニヤしているヤツは変人を通り越して、変態だ。
教室の隅っこに連れて来たのは俊哉のくせに、最終的に興奮しすぎて大声で話していたせいで、結果注目を浴びている。ちなみに今は昼休みなのだが、ちらほらいるクラスメート達はこっちを見て俊哉が騒いでいるって分かると普通通りに戻って行った。あぁお前か、みてぇな。みんなも知っている。俊哉がキモくて変人で変態でネジが一本足りないって事をな。
そう、これが日常茶飯事。俺、山本 潤(やまもとじゅん)にとっての日常なのだ。うざったい日常の原因を置いて、もうすぐ始まる授業の準備を始める為に席に戻る。
さっき触られた両腕の左腕を右手で触ると熱くなっている気がした。別に痛かったからじゃない。
―――触られた場所が熱くなる理由は俺だけの秘密。
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