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いつから好きだったかなんて、考えても分からなくて本当にいつの間にか好きだった。
出会ったのは、もう一年ほど前。今の高校に入学して初めてクラスのやつらと顔を合わせた日だった。俺は名前順で後ろの席で、まだ先生は来てなくて教室の席も空席が目立っていた。
だから前の方でワーワー騒いでいるやつが、やけに目に入った。
それが俊哉。人懐っこい笑顔で周りに話しかけ、ワクワクしているのが見て分かった。ひょろっとした高い身長にほどよく着崩した制服。耳上を刈り上げていて、その上からパーマのかかった長い髪を耳にかけていた。お洒落なやつだなが最初の印象。
よく見ると顔も文句なしのイケメンで大きな目は少し垂れ目で笑うとさらに垂れ目になるようだ。スッと通った鼻に薄い唇、キリっとした眉毛が男らしさを醸し出していた。男子校に来るなんて、もったいねぇなって思った。
それとは反対に俺は何処にでもいそうな平凡で、きっと仲良くならないタイプだなと思い、騒がしい方から窓から見える空へと意識を外した。雲ひとつない空を見ながら、きっとアイツがクラスの中心になるだろうな。ぼんやり、そう思った。
・・・
それから担任になる先生が来て、ちょろちょろ話し、みんな自己紹介をして簡単に終わった。早く帰れる、ラッキーと思って立ち上がった時。
「ジーザスっ!!!」
そんな叫ぶ声が聞こえて俺は声の主を探す。――簡単に見つかった。さっきまで騒いでいたクラスの中心人物(になる予定)が俺を見ていたからだ。なんだかキラキラしている笑顔に胸がざわめく。…嫌な予感。
キラキラスマイルのまま、ズカズカ近寄ってくるアイツに嫌な予感しか感じず、直感的に平和な高校生活は終わったと何故か失礼ながらも思った。あの時勘は外れていなかった訳だが。
そんな俺をよそにやつは、へ、へ、平凡っ!と言いながら詰め寄ってきて、平凡ってなんだよ。失礼なやつだなって思った。ま、当たり前の感想だよな?
「ねぇ、名前なんて言うのっ? 外部生だよね? 俺は嶋田 俊哉って言うんだけど、ちなみにS.Sなんだよ~っ。だからと言ってSじゃないからね! Mでもないんだけど!」
あはは!と笑うヤツに圧倒される。あ?さっきも自己紹介したのに、またすんの?ちゃんと聞いとけって話しだろ。めんどくさいな、こいつ。
「…山本 潤。外部生」
「そっかそっかー! 俺も外部生! これから、よろしくね~!」
手を掴まれ、ぶんぶんと握手をされた。ほぼ無理矢理、電話番号やメアドを交換して、俺らは友達になったらしい。そう気づいたのはアイツが、また明日!と去ってからだった。
それから一年間付きまとわれるように一緒にいた、俺と俊哉はセットとして扱われるぐらい周りから仲のいい友達として認知されていた。
次第に俊哉がなぜ俺みたいな平凡とつるむかのには理由がある事に気づいた。俊哉が言った、俺腐男子なんだよねって言葉と○○○×平凡にハマってるんだ!と続けて言った言葉。俺とつるむ理由もイケメンのくせにわざわざ男子校に来た理由も、それが理由。
気づいた時は、くだらないと思った。
だけど、友達になった理由なんて関係ない。なってからが重要だ。お互い何処まで馬が合うか、信頼出来るやつか、何より一緒にいて楽しいかだ。
俊哉は変人だしキモいし馬鹿だけど、いいとこも沢山あって一緒にいる内、まあ楽しければいっかと、気にしない事にした。
でも、それがいけなかったのか、今の俺を苦しめる事になるとは思いもしなかった。
俺の大誤算は俊哉を好きになってしまったこと。
平凡でなければ友達でいてくれないのか。優しく笑ってくれないのか。ーーそんなに他の男とくっついて欲しいのか。
お前が俺をーー。聞いてみたいようで聞きたくない事ばかり考えるようになってしまっていた。
「ん? 俺? 俺は男とは考えられないよ。見てるのが好きなだけで現実は違うかなあ。だからね、潤ちゃん! 俺に生BLを見せて~! お願いお願い!」
「は? 自分は無理だから俺に押しつけてんのか?そんなにBLとやらが好きなら自分で体験しろよ。俺は男は好きにならない」
なのに、ごめんな、好きになって。二年生になってクラスが離れてくれれば好きな気持ちは勘違いだったと思えると思ったのに、また同じクラスになってしまった。6分の1の確率で。お前は、運命だねって笑ったが俺は笑えなかった。
でも、まだお前の隣にいれるんだって喜んでる自分もいた。長くいればいるほど辛くなるだけなのに。
どうか気づかないで、嘘つきな俺を許してくれ。
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