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さんじゅーはち
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放課後になって、教室が一気に騒がしくなる。周りを囲む女子の話に耳を傾けながら、帰る準備をする。
「あ、あの!一緒にお茶に行きたいんです!お暇があれば、是非!」
「ありがとう。でも、父上から許可を貰わないといけないから、今日は無理かな」
少し残念そうに笑う彼女に申し訳なくなったけど、俺は別に行きたくないわけじゃないから、仕方がない。悦都や蒼介に助けを求めようとしたが、2人の姿はもう見当たらない。
置いていかれた。アイツら...俺だけ置いていくとかまじで酷すぎだろ。何度目かの溜息を漏らす。また一斉に女子の叫び声が高くなる。
「え、狙ってんの?狙ってそんなエロくしてんの?やっばァ!」
そんな声が聞こえて、首を傾げる。後ろに誰かいる訳でもないし、俺の事だとしたら、それはそれでなんか複雑な気もする。
「誰か...助けてくれ...」
そんな俺の小さな呟きは誰にも聞こえないまま、教室の賑やかさに掻き消される。みんな、元気だな。なんておじさんっぽい事...実際中身は大分歳行ってんだけど。
そう考えてみると、俺は聖夜よりも歳上なんだ。今更だけど、考えてみればそうなんだ。もっと若いと思ってたんだけどな。もし、今俺が向こうの世界で生きて居たなら、結婚して幸せな家族が出来てたのかもしれない。
それとも、独りで生きてんのかな。お金に困ることはないと思う。ホストとか行ったら、すぐ稼げるでしょ。
「そんな簡単じゃないよな」
「何がそんなに簡単じゃないの?」
隣から声がして、思わず振り向く。そこには、いなくなっていたはずの蒼介が立っていた。満面の笑みを貼り付けた、イケメンの顔にびっくりして、固まる。
「おーい、そんなに驚かなくても良くないか?俺はオバケじゃねぇんだしよ」
「さっきまで居なかったからさ。てか、俺を置いていくお前の方がひどいんじゃねぇの?」
蒼介と話す時は何にも意識しなくていいから楽だと思ってたけど、学校では気を抜いちゃ行けないな。
「あー、それは悦都に頼まれただけだから。嫉妬すんなよ?」
「嫉妬なんてしません。先に帰ったのかと思って、車を手配するか考えてただけです」
ようやくいつも通りの笑顔になった蒼介を見てほっとする。
「んじゃ、帰るか...って邪魔だな」
周りを囲む男女の輪が目の前に広がっている。どうやって出ようかと考えてるうちに、蒼介は俺の手をとって、駆け出す。
一分の女子がきゃあって言ってたのは気にしないでおこう。
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