アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ごじゅーさん
-
思わず飛び出してきてしまった。なんで、逃げ出してんだよ。気付けば、場所が分からないところまできてしまっていた。敷地内だということは、わかる。どこから来たのかも、きっと分かるはずだ。俺が背を向けている方向から来たに違いない。
予測でしかないのに、それを信じることしか出来なくて、アイツがいたら、こんな不安も消し去ってくれるはずなのに。あぁ、そういえば、アイツはもう俺のそばには来てくれないのか。
あのまま、あの女と繋がったのだろうか。なんで、こんなに胸が締め付けられて、苦しくて、痛いんだよ。好きじゃないのに。好きなはずないのに。
「…なんで、こんなに…涙か溢れるんだよ…っ」
こんな所にいたら、また変なやつに捕まえられて、誰も助けてくれず、何をされるかわからない恐怖に怯えながら暮らす日々か来るのだろうか。今は、それでもいいかもな。なんて、自虐的に笑ってみせる。
「あー、早く誰かきてくんねーかな。ぼっちとか、寂しすぎかよ。」
小さな湖の近くに、腰を下ろして花を摘んでいじる。誰が整備してくれてるんだろうな。おとぎ話で池に斧落として、どぅるどぅるって女の人が出てくる、話しを思い出す。俺もなんか、ここに落としてみようかな。
湖の水を見るために、四つん這いになって顔だけ出して、覗いてみる。なんで四つん這いかって言われたら、落ちるのが怖いから。それだけだ。
「酷い顔…っあ…」
後ろから来た下半身の刺激に、全身にビリビリと電気が走る。誰だよと後ろを振り返ると、真がいた。その顔は、やってしまった。という顔だった。
相変わらず、真の顔を見るのは面白い。百面相したかと思えば、真顔になったり、寝てたり。どんな心情なんだろ。
「あ、そういうつもりはなかったんですよ!?ほんとに…」
あまりにも可哀想な顔をするもんだから、いつも仕方なく許してしまう。真に近づいて頭を撫でてやれば、嬉しそうに笑った。犬かよって突っ込みたくなるのを抑えて、撫で続けた。
「晋夜…ごめん。」
「え、なんでここにいらっしゃるんですか。あの方はどうされたのですか?」
嫌味っぽく、聖夜に聞いてみれば殴ったと言う答えが返ってきた。思い出せば、あの状態であの行為をするって言うのは、ありえなかったかもしれない。あの時、止めていれば良かったのか。
「ここは寒いだろ。早く、部屋に帰ろう。」
手を引かれて、立ち上がると足に力が入らずによろけてしまう。それを、真が支えてくれた。聖夜はそれが気に入らなかったのか、不機嫌なオーラを出しまくっている。
「真、ありがと。でも、聖夜様に殺されそうだから、手はなしていいよ。」
小声でそういえば、直ぐに離れてどこかに行ってしまった。あいつ、すぐににげていきやがった。
2人で話しながら帰る道のりは何故かここに来た時よりも、早く感じた。1人だったからかと思うと、納得できたきがした。
「今日は一緒に…寝てやってもいいぞ。」
「ほんとですか?お願いしてもよろしいですか?」
「あぁ。」
本当は、一緒に寝たいんだろ。しかたねーから、一緒に寝てやるよ。と心の中で呟きながら、差し出された手を掴んで、また歩き出した。俺を誘った時の顔が真っ赤だったのが、可愛いなって思ったのは、聖夜にはひみつ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 58