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子供の頃から嫌ってきた場所へ足を踏み入れる。
騒がしい。嫌な顔をした奴等がゾロゾロと……。
足元に並べられた檻には窮屈そうに丸まった
奴隷となってしまった子達がいた。
「チッ」
「おい。舌打ちするんじゃねえよヒムル。
こっちまで我慢できなくなんだろが。」
入り口に立ちっぱなしだと怪しまれるな……
仕方ない、偵察だしな。足を進めるか。
それから俺はジークと共にそれほど広くない市場内の一本道を歩いた。
どの子達も痩せ細り、鞭の跡や、火傷、痣などが目立っていた。
「お客さん、はじめての人じゃないか?」
俺たちに声をかけたのは、市場の係か何かをしているであろう、肥えた男だった。
「こういった場所は初めてでして……、
どういった決まりがおありで?」
ジークが男に質問を投げ掛けた。
「あー……簡単な説明しかできねぇぞ。」
「それで十分です。」
「なら説明するが…、まず
入り口から順に若い、新しいもの
奥に行くほど歳とった、古いもの
っていう並べ方になっててな…」
男が言う「もの」というのは奴隷のことだろう。
確かにこの市場は通路が1本しかない。
両端に檻が置かれ、値段が置かれている。
まだ奥があるのか?奥になるにつれて薄暗くなっているが……。
俺は男の説明を聞かず奥の方へ足を進めた。
後からジークが説明を断り、駆け付けてきたのがわかった。
「なぁ、まだ奥に行くのか?もう帰らねぇか?
情報は十分集まったじゃねぇか。」
「……いや、まだだ。」
ダメだ。ここで帰ってはならない。
理由は、分からないが、脳が必死に足を進ませた。
壁が見えたところで、俺の足は止まった。
俺の目に映ったのは、一番最後の檻に入っている
痩せ細った一人の少年だった。
目をつぶり、息があさい。
俺はかがみこんで、少年の顔を覗きこんだ…
その時。
俺の心臓は激しく波打った。
「ジ、ジーク……。さっきの男を連れてきてくれ。」
「は?どうしたんだ急に。
…まぁ、連れてくるから待ってろよ!」
ジークの足音が遠ざかっていく。
が、そんなことはどうでもいい、とでも言うように俺の目は少年から離れようとしなかった。
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