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「あれ、シャッター空いてたけど今日休みかな?」
よく響く甘さを含んだ声
顔を見ずともわかる。
ここ最近俺を悩ませる原因
腹立たしいはず、の男
「なんだ、お前ぇさんか」
「あ〜!よかった〜やってたんですね!」
二人が話してるのをチラッと覗いてみる。
もしかしたら似た声の奴かもと期待してみたものの
それはすぐに打ち砕かれた。
あの長身に柔く揺れるミルクティー色は間違いなく金井だ。
「おう。前回のやつの引き取りでいいか?」
「はい!そーです!!」
いつものへにゃへにゃだかふにゃふにゃだか
とにかく気の抜けるような笑みを浮かべて揺れている。
「おい、小僧。来たんなら働かんか。奥の机に出来上がってんのがあっから持ってこい。」
くっそ……!
この爺さん人の気も知らないで!!
それにしてもなんで金井が?
なんか爺さんとも親しげだし
あいつのコミュにケーション能力と行動範囲はどうなってんだよ!?
考えていても仕方ないと奥の机、と言われた場所へ行く
そこにはまだ包装し終っていない写真が机に散らばっていた。
ちゃんと準備しとけよ…
机の上に無造作に置かれた写真
そこには笑顔の人、鮮やかなグラデーションの綺麗な空、光の反射が印象的なビー玉、それから、靴…?
ジャンルはバラバラだけれど、どれも何故か目を惹かれる。
ケースに入っていた手袋をはめて
一枚、また一枚と確認の意味も込めて手に取る。
デジタルのはっきりした色合いとはまた違うフィルムらしいレトロな色合い
けれど、暖かさがある。
あいつのことなんてほんの一部も知らないけれど
金井らしいな、なんて思った。
散らばっていた写真をまとめて包装用の少し曇った透明ビニールの袋に入れる。
それを更に便箋のような店名の入った袋に入れテープで止めれば完成だ。
……ったく、これくらいやっとけっつーの。
「爺さん、また包装忘れてたぞ」
「ん?ああ、そうか。」
「ちゃんとしろよ」
簡単な作業だったが、集中していて忘れていた。
客がこいつだってこと……
「え、あれ!?二葉さん!?!?」
「あ、」
「なんだ、お前ぇ小僧と知り合いか。」
しまった、と思っても時既に遅し
「え!なんで二葉さんがここに!?うわ〜!やっぱり運命っすね!!!!!!」
もしこれが本当に運命だとするなら
とんだアホな神様がいたもんだ。
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