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ゾムの過去 2
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────────────────────
ゾム視点
もうすっかり夜になってしまった。今日はいつも通りの1日だったような...違ったような...?なんというか...誰かに見られてたような...。
「...気のせいやな!!
はよ寝よ〜」
そう言って俺はベッドの中に入り、夢の世界へと落ちていった。
「────────ここ、は?」
...また、ここか。昨日と一緒。真っ暗な世界。
「てことは...またアイツが来んのか」
「大正解〜!!」
俺の独り言に答えるように、昨日と同じやつが話しかけてくる。今も姿は見えない。
「...なんの用や?」
「ひっどいなぁ...せっかく会いに来たのに...」
「俺は会いたくなんてなかった」
「......ふふふ」
「...何がおもろいねん」
「いやぁ、ね?
こんなに強気のゾムを僕のものに出来るなんて...そりゃあ笑みが溢れるよ!!」
俺は驚いた。
"僕のものに出来る"?
「...誰がお前なんかのものになんてなるかよ」
俺の声は怒りを含んでいた。
しかし、アイツはなんとも思っていないらしい。
「すぐに分かるよ!嫌だ、って言っても誰も助けてなんてくれないんだから」
「...」
「だんまり?まぁいいや!
ゾム!安心してね?
────────────絶望のどん底まで...落としてあげる」
姿が見えないから顔だって見えない。だが、今の言葉や声の高さで分かった。
...コイツ...楽しんでやがる。
「今日まで待っててあげる!
...お仲間さんにお礼でも言っといたら?もう...会えないんだから...」
寒気がした。普通なら信用なんてしない。だが、何故だか...本当にそうなるのではないか...そう思ってしまう。
あの時と...同じぐらいに...怖い...恐い...。誰か...助けて...。
太陽の光によって起こされる。気づけば、体は汗で濡れていた。
「今日で...最後...?」
嫌だ嫌だ!!そんなの...絶対に嫌だ!!怖いこわいコワイ!
皆と会えなくなるなんて...絶対に嫌だ!!!!
「────────────ゾム?」
扉の方から声が聞こえた。誰かを確認するために見る。そこにはオスマンがいた。
「どうしたんや?そんなに汗をかいて...。何かあったんか?」
オスマンは俺の隣に座り、優しい口調で言ってくる。少し、安心する。
「一人で抱え込んだらアカンよ?いつでも助けたるから、話してみ?」
その言葉に、目から雫が落ちた。
「...オスマンにだけは話すわ...。ただ...絶対に...他の奴らには言わんといてぇや...」
オスマンは信用したい。そして...助けて欲しい。そんな願いを込めて。
俺が5歳の時。争い事が毎日起こるスラム街に住んでいた俺は、ここで生き残っていくために、親から戦い方を教わった。覚えるのは簡単で、1ヶ月も経たないうちに俺に勝てるやつはいないと言われるほどに強くなった。全てを...守れると思っていた。
しかし、6歳になった頃。俺の両親は死んだ。俺が寝てる間に殺された。その時、俺は初めて泣いた。泣いて、泣いて、泣いた。涙が枯れるほどに。そして、俺は街の人々を全員殺した。なんの感情も湧いてこなかった。ただただ、復讐が出来た、と喜んでいた。
その日からか...おかしな夢を見るようになった。夢の中で誰かもわからないやつが話しかけてくる。俺の事を知ってるかのように。でも、俺は気にしなかった。
興味がなかったから。どうでもいいと思っていた。
俺が12歳の頃。α国から来た人間が俺に「私の軍に来ないか?」と言ってきた。勿論、断った。でもしつこかった。俺はα国の軍には入りたくなかった。なぜなら、あの軍は"人を兵器の様に扱う"という噂を聞いたからだ。そんなの絶対に嫌だった。だから断り続けた。
そんなある日の夜。またあの夢を見た。そして、夢に出てきたヤツは言った。「いい事教えてあげる!俺の言う通りにすれば、α国の軍に入らなくてすむよ!!」と。俺はその言葉を信じてしまった。俺は言われた通りにやった。その結果...α国に捕まった。
α国の王に拷問や洗脳され...俺は段々と壊れていった。俺はただの「戦うための兵器」となってしまった。
「...ある日...任務中に俺の洗脳が解けたんや...。その瞬間に...α国の人間にまた拷問の様なことをされた...やっとのことで逃げたら、オスマン達に助けられたんや...」
最後の方は声が弱々しくなっていた。オスマンは俺の言葉を黙って聞いてくれている。
「...最近な...またアイツの夢を見るんや...そしたらな?...もう..."今日でお仲間に会えなくなる"って...言ったんや...。いつもだったら信じないはずなのに...信じてしまってん。そんで...怖くて...グスッ...怖くて...グスッ......助けてぇや...オスマン...」
「...怖かったなぁ...もう大丈夫やで?俺がどうにかする!
せやからさ?...グルッペン達にも言おうや」
「.........え?」
目を見開く。
「...対策を立てるには、いろんなヤツらの手を貸してもらった方がええやろ?安心し!あいつらはゾムの事を嫌いになんてならへんよ」
ビクッとした。心の中を覗かれたようだ...。思っていた事を全部言われた。
「...せやな!!そうしよ!
ただ...話す時は傍にいてくれや」
「勿論めう!!」
少しスッキリした。
決意を固めて、皆に話に行く。
夜になるまで...あと18時間...
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