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「そしたら、織戸の奴が~…。」
(うう…。このネタが尽きると、流石にもう俺には話題が…。)
落合が将来について不安に思い出した、途端だった。
ガシャン…。
甲高い音で、落合はハッとする。音の発生源は我妻の足元…重ねられたグラスが倒れていた。
「我妻先輩!?」
倒れたグラスは一つだけで、幸い割れていないようだが、落合が驚いたのは重ねられた杯の数である。
「先輩、これちょっと飲みすぎじゃないですか!?」
失念していた。そういえば、序盤のペースがおかしかったのだ。顔を上げた後輩に、赤ら顔の我妻は頭を振る。
「…んなことにぇ~って!!」
「さっそく呂律怪しいし!!我妻先輩!??」
目の前で、早くも酔っ払い独特のアメーバみたいな動きをしだした我妻を止めようと後輩は羽交い締めにかかる。すると、我妻が擽られていると錯覚したのか大笑いを始める。
「あひゃっひゃ!!おばちゃ~ん!!焼酎!!ロックで!!」
「わああああ!!」
店の外に運び出そう、このペースで酒をかっ食らうのは危険だ。本気で我妻の身を案じる後輩に、本人はテーブルに突っ伏しかけながらボソボソと喋りだす。
「…。」
「え??我妻さ…」
「しぇんぱいッ!!」
そこだけ何故かはっきりと発音する酔っ払いだった。
「あ、あ、我妻先輩、なんて??」
「…おちあい。」
後輩の腕の中でくたっとなった我妻は、静かに目を伏せる。頬に睫毛の影が落ちて、後輩はどきりとする。憎すぎて今まで欠片も思わなかったが、我妻は顔が整っている。…いや、今では鬼上司の評判が浸透し過ぎて女子社員の誰も振り向きゃしないが。
「おれ、もうだめかも…。」
「…せんぱい??」
落合は、思わず小声で訊き返す。独特な雰囲気が流れ出した二人の前に…焼酎が届く。
「うぇ~い!!のむぞぉぉぉ!!」
「ちょ…っ!!タンマタンマタンマァァァッ!!」
この勢いで飲まれては救急車行きも冗談ではなくなる。察した落合は焼酎のグラスを高く掲げ、子供のようにぴょんぴょんその場で跳ねて酒を奪還すようとする先輩に怒鳴る。
「我妻さ…じゃねぇや、我妻先輩!!俺ン家で!!俺の家で飲みましょう!!」
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