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(この人に恋愛感情なんて持つわけないし、第一男だし。ってか、性別抜きで考えても、まず趣味じゃない。)
ふと、鬼上司のプライベートに興味を持つ。
(…そうだ。この人、恋人とかいるのか??)
これだけ、四角四面に厳しく生きている人だ。恋人は大らかで優しい人がいいに決まっている。鬼上司の恋人の理想像を勝手に考え、落合は密かに微笑んだ…。
タクシーが見慣れたマンション前に到着すると、落合は鬼上司の肩を揺らして起こす。
「我妻さ…我妻先輩??先輩ってば…。」
「…ん。」
目を覚ました我妻は、会社にいる時の肉食獣そっくりの獰猛な目つきに戻っていた。少しは正気を取り戻してくれたらしいが、こっちはこっちで末恐ろしい。
「先輩、俺ン家に着きましたよ。飲み直すんでしょう??」
本来なら上司だろうと家に送り返した方がいいのだろうが…妙な雰囲気の我妻が後輩は気がかりだった。きっと、誰かが傍にいた方がいい。否、我妻に秘密の同居人がいるかもしれないが、いるのかどうかわからない相手にぶん投げるのも無責任な気がして腰が引けた。
「…ああ。」
まだ意識がはっきりしていないのか。我妻の双眸は虚ろだ。運転手に金を支払い、肩を貸して車外に連れ出そうとすると、上司はその場に踏ん張り顔を左右に振って拒む。
「えっ??」
上司は俯きがちになりつつ、両腕を大きく広げてみせた。
「…おんぶ。」
「え゛。」
真っ青になって硬直する部下に、我妻は涙目で訴える。
「…んだよ。お前は、千鳥足の上司に徒歩を強要するような男なのか…。」
「わかりました、わかりました!!背負います!!先輩を背負わせてもらいますよ!!」
部下は、我妻の前に背中を向けて屈み込む。我妻は、彼の肩にそろりと手を伸ばした。意を決して落合は立ち上がったが、存外、年上の男は重たくない。…どころか、異様に軽い。
「先輩??…ちゃんと飯食っています??」
落合は心配になって訊く。
「…んだよ。お前、いつから俺の健康を心配できるほど偉くなっ…。」
「はいはいはいはい。ドーモ、スミマセン!!」
我妻からは、憎まれ口で返されてしまうのだった。
先輩を背負った状態で、エレベーターに乗り、落合が住んでいる五階のボタンを押す。矢先、背に違和感を覚える。落合は、浮かんできた不埒な考えを振り払うよう、頭を激しく左右に振った。…そろそろ下ろしていいはずだ、と落合が考えていると背中の男がぐずぐずと喋る。
「はっ、はい??」
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