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えっ、と振り向いた我妻の両手首を相手が捉えて冷たいタイルの壁に縫い付ける。
「うわ…っ!!」
我妻は自分を捉えた男を見て、目を見開く。
「え…。おち、あ…。」
落合の様子がおかしい。呼吸が荒く、目をギラギラと光らせている。
「我妻さん…。俺いーアイデア考えつきました。えへへ、へへ…。褒めて下さい。」
彼の吐息を近距離で受け、我妻は眦を釣り上げる。
「酒クセェ…。お前、酔ってんのか。」
我妻の気分は、図体のでかい従順なゴールデンレトリバーにのしかかられた飼い主だ。
「酔っているらんて、そんら酷い~!!クソ鬼上司がシャワーから上がるまで、俺、イイコにして待っているつもりらったんですよ~!!」
「おい、本音が出ているぞ。本音が。」
我妻は、冷ややかな目で部下を見据える。全裸でも威圧感くらいは出せた。問題は、今の我妻が丸腰で部下が本気で馬鹿な真似をしでかすと止められるかどうかわからない点か。
「でェ、いーアイデアなんスけどぉ!!」
「俺のツッコミ丸無視か。」
仏頂面を続ける我妻に部下は上機嫌で続ける。
「俺の現時点でも人生の目標って『我妻さんを見返す』じゃないッスかぁ~!!」
我妻は早々に頭を抱えたくなる。
「そんなみみっちい人生の目標なんぞ、今すぐドブにでも捨てちまえ。」
「でェ~、こっからが本題ッス!!」
落合は、上司が見覚えのないほどヘラヘラしている。…アルコールの威力は恐ろしいものだ。
「今、我妻さん丸腰だしィ。ここ、こんなじゃん??」
落合が『ここ』と言って手を伸ばしたのは、相手の昂った股間だった。我妻の顔色が変わり、部下の腕を止めようと抵抗する。
「ちょ…っ!!馬鹿、落合!!やめろ…っ!!」
「負ぶった時に気づいたんスよぉ~。これ、疲れマラってやつぅ??俺、同じ働く男だからわかるっていうかァ~??」
「なら、もっとやめろ!!だから、飲まずに帰ろうとしたのに…触んな!!」
落合は困惑しながらも拒絶しようとする上司に、ニヤニヤと笑ってみせる。
「我妻さん、忙しくてヌく暇なんてなさそうですもんねェ~??俺が手で楽にシてあげますよ。…したら、俺の目標クリアだし我妻さんもスッキリで問題ないっしょ??」
二人がやりとりする間も、両腕はもつれ、両脚は蹴り合い、激しい攻防が続いている。
「お前の目標が俺を見返すことなら、別に今じゃなくてもいいだろ!!また今度、プライベートな時とか…。ああ、もうっ!!仕事の時でもかまわん!!とにかく、頼むから今はやめろよ!!」
落合は残念そうに唇を尖らせる。しゅんとした表情は、まるで駄々っ子みたいだ。
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