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我妻はたまらなくなって、ギュッと目を瞑る。思い出すのは、金曜の真夜中。
シャワーが流れっぱなしの浴室。流水の音を聞きながら、あられもない姿の我妻は部下の大きな体に身を託した。背後から力いっぱい抱きしめられて、脇の下から差し出された分厚くがっしりとした手が、我妻の分身に触れて巧みに蠢き、底なし快楽に幾度も導かれる…。
パッパー、という派手な車のクラクションで、我妻の意識は現実に引き戻された。見れば、心配そうに部下が顔を覗き込んでいるままだ。慌てて、我妻は身を引いた。
(こんな時に、何で俺はあの夜の出来事なんか思い出すんだよ…!!)
不甲斐なさに奥歯をぎりぎりと噛み締めつつ、飼い主は落合を罵る。
「おら、さっさと行こうぜ。帰る時間、ただでさえ遅いんだから。」
「はあ…。」
曖昧な返事ではあるが、落合はこっくりと頷いてみせた。立ち止まっていた二人は再び歩き出す。ややして、落合が短く声を発する。
「…あ。」
「な、何だよ。」
よせばいいのに、上司の性分で訊き返してしまう我妻だった。落合はニコニコと微笑みながら、上司の腕を掴むと手を自分のコートの腰ポケットに突っ込む。
「…ちょッ!!」
慌てふためく上司に、落合は目をキラキラと輝かせる。
「こ~すれば、我妻さんも寒くないですよ。…ねっ??いい案だと思いません!?」
褒めて褒めてと額を押し付けてくる忠犬に、我妻は俯き加減で吐き捨てる。
「…はァ!?ば…っ、バッカじゃねぇの!?」
ガキくせぇ、と顔を伏せて罵る上司に落合は身体を寄せていく。
「ねぇねぇ。そんなつれないこと言わないで下さいよ~、我妻さん。」
「…。」
口が過ぎたかな、と我妻が渋々部下の顔を向いた、刹那。…忠犬はにっこりと満面の笑みを見せ、とどめの一言。
「我妻さんは俺の上司なんですから、部下のこんなガキ臭いところもまとめて面倒見て下さいよ!!」
「…~っ!!」
蓋を閉じ込めていた感情が、ぶわっと心から溢れ出す。火が灯るかの如く、両頬がぼっと赤くなる。…薄暗い夜道。鈍感な部下が一目でわかるほどあからさまに色づいてしまう。
「あ、あれ??我妻さん、気のせいか顔が赤いような…。オレンジの街灯で、俺の目が色を見間違えているんですかね…??でも、こんなはっきり…。」
我妻は、そんな部下の視線を感じてますます自分の顔の温度が上がっていくのを感じた。
「うるさい、黙れ!!」
(頼むから…っ。)
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