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「落合、座れよ。」
我妻の双眸が緩々と眇められていく。流されるわけにはいかない、と落合の心が叫ぶ。
「嫌です…。俺、こんな風に…。」
「…寂しいんだ。」
遮るように打ち明けられ、落合は頭が真っ白になる。
(流されちゃダメだろ。こんな、金と引換みたいな肉体関係は続けちゃいけないって!!)
理性は警告灯をつけるのに、身体はブレーキが上手く効かずにソファーに座ってしまう。
我妻は前髪をかきあげると、蠱惑的に微笑む。
「お前だって、期待したんじゃねぇの??…こうやって。」
我妻の指が…透き通るような白い肌の細い指先が部下の膝上で硬く結ばれた拳を開いていく。
「…俺に触れられるのを。」
四苦八苦しながら、ようやく開いて落合の手をきゅっと握って、上司は妖艶な笑みも零す…。
「…もっと触りたいだろ??」
悪戯っ子みたいな笑みを口元に浮かべ、我妻は握った部下の片手を自分の方に引き寄せる。…止めたのは、落合の冷たい声だった。
「何がしたいんですか??」
気づけば、落合は自分でも知らぬ間に青筋を立てていた。二人の間は十五センチほど。その中間で、二人の伏せられた手は重なり合っている。…まるで、思春期の初心な恋人同士みたいだ。現実は真逆だが。
落合はくるんと手のひらを返して、上司の手をぎゅっと握りこむ。ぴくっ、と我妻の全身が戦慄いた。
「我妻さんは俺が会社で迫ると、こそこそ逃げる癖に、金を渡すとこうやって身の程知らずに誘ってくるんですね。」
部下は憤怒と力に任せ、我妻の手をぎゅうぎゅう握りこむ。対して抵抗もせず、我妻は黙って目をそらす。
我妻の手は、女性ほどの瑞々しさはないものの、しっとりとしている。肉は柔らかく、よく揉みしだくと部下の手の中で蕩けていきそうな印象を受けるほどだ。肌は絹の如く滑らか。加えて、手全体は部下より小さく、手首も細い。厚みも成人男性と思うと、少ない。
「俺、この間トイレで言いましたよね?? 」
『俺は我妻さんを好きになりたいし、我妻さんに俺のこともっと知ってもらいたい!!一晩限りの、酔っ払い同士の事故で片付けてもらいたくないッ!!』
我妻はそろそろと部下の顔色を伺いつつ、主導権を握られた手に視線を注いでいる。…どうやら、手だけでも部下から奪還したいらしい。
「お、落合…??どうした、なんか雰囲気がヘン…っん゛ぅ!!」
部下が再び手にぐっと力を込めると、我妻は痛みに一瞬怯む。
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