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「…にしても、我妻さんの友達って一体…??」
あ~…、気になる!!と頭を掻き毟る落合に水越は一言。
「仕事しろ。」
同時刻…。我妻は、指定された喫茶店の前にいた。
ベージュ色に愛らしいリボンが幾つも飾り付けられた扉を前に、我妻は敷居の高さをひしひしと感じていた。それでも、勇気を出して扉を開くと、からんからんと澄んだベルの音が店内に新たな客の訪れを告げる。
さっそく、若い女性店員がやって来て、我妻に何名かの確認をとろうとする。我妻は素早く片手をあげ、彼女の言葉を制す。
「連れとの待ち合わせなんです。えっと…。」
店内を見渡すと、そこには白を基調としたパステルカラーの飾り付けが鮮烈な印象を残す空間が広がっていた。白いレースのクロスがかけられた小さくて丸いテーブル。ハート型が背もたれのピンク色をした椅子…。店の客はやはりというか、女性やカップル連れが多い。
そんな中、グレーのスーツを華麗に着こなし、一人でパフェを突っつく男がいた。我妻は半眼になりつつ、友達である彼の元に駆け寄る。
「…よくまあ一人で、こんなところに来られるな。」
亜麻色の、女の子のショートカットみたいな髪型をした男はふわっと微笑む。一重瞼の円な瞳。健康そうとは言い難い色をした、薄い唇。素の顔がいいからか。麗人は、天使のように温かな笑い方をする。我妻に比べ、身長は男の方が頭一つ分高い。年の頃は、同じくらいか。
「そう言うなよ。…僕だって、君が来るまで心細かったんだぜ??」
どうだか、と冷たく返しながら我妻は彼の正面に座って、口を開く。
「…で、要件は何だったか、伊月。」
伊月と呼ばれた男…水越がこの場に居たなら説明してくれただろう。我妻と同期な上、我妻を出し抜いて出世した人物である。伊月は、にこにこと柔らかく微笑みながら素朴な声で答える。
「またまたぁ~…。学生時代から、君は話を誤魔化すのが上手いな。」
前置きはこのくらいで十分だろう、と気障に言い放ち、伊月は若干前のめりになる。
「…どうなったんだよ、そのお前がいびり倒している熱血部下君とは。」
先刻の若い女性店員がお冷のグラスをテーブルに置いていく。一つは伊月に、残るグラスが我妻の前に置かれる前に彼はズバッと答えた。
「襲われた。」
がちゃんっ、派手な音をたて、お冷のグラスが卓上に転がる。女性店員はあわあわし、『おしぼり持ってきまぁ~す』と甲高い声をあげて厨房に回れ右する。一連の様子を眺め、伊月は同期に呆れた眼差しを向けた。
「…君ねぇ。」
「お前が訊くから、答えただけだろ。」
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