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めらめらと情欲の炎を燃やす落合に、上司は何かを察したのか。ぷい、とそっぽを向く。
「…期待に満ちた目を俺に向けるな。あと、ここは会社だかんな。」
一瞬の吹雪によって、炎がぶわぁっと人畜無害の湯気に早変わりする。
「すっ、すいません。俺、つい…。」
「いいけど…。俺の出張中は、尻尾を出さずに大人しくしていろよ??」
この関係がバレたら速攻逢引はやめるからな、と言いおいて、我妻は颯爽とオフィスを後にする。
(我妻先輩、最近男らしさに磨きがかかっているような…。)
落合がデスクに戻ってくると、水越が話しかけてくる。
「お別れは、終わったか??」
落合は二へへ~と口元を綻ばせて笑う。
「ばっちり。」
「そっか。…なら、お前はもう二日間我妻さんが一体どこで何をしているか、わかんないな。」
「…え??」
落合仁、一瞬にして硬直状態に陥った。
だってさ~、と水越は続ける。
「お前、我妻さんの連絡先とか知らんだろ??社内じゃ、内線電話で十分通じるし。あと、出先だと会社の携帯を持っていくもんな。今回は、急な会社の連絡はないだろって話で、社用の携帯も置いていくっつってたし。」
(我妻先輩の同行が、今日明日の二日間、一切掴めない…。)
落合は、ぐっと両拳を握りこむ。
(我妻先輩が電車の中で、男目当ての悪質な男の痴漢にあったとしても…!!)
(我妻先輩が出張先で食中毒にあって、脂汗かきながらゴロゴロ唸る腹部を抑えて、涙目で喘いだとしても…!!)
(我妻先輩が出張先で酔いつぶされて、中年オヤジばっかのアブナイ接待に付き合わされそうになったとしても…!!)
落合の表情を覗き込んだ水越が、へにゃりと笑う。
「落合、お前、なんか目ェギラギラしてない??大丈夫??」
水越が喋り終わらない内に、落合は席から立ち上がってオフィスの外に向かって駆け出していた。
「我妻さぁぁぁ~ん!!」
水越の笑顔に拍車がかかる。
「…お熱いねぇ~。」
織戸は落ち着き払った様子でタイピングを続けていたが、やがて重々しく口を開く。
「水越君って、スキモノだよね…。」
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