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我妻は機嫌が悪いのか。ちっ、と舌打ちする。
「肝っ玉の小さい男だな。だから、俺に捨てられるんだよ。」
高飛車な態度の我妻に伊月はふむ、と腕組みする。
「…それはそうと京司、君はいつ彼に抱かれるの??」
「な…っ。」
伊月は頬杖をついて、目の前の我妻を値踏みし出す。
「噂程度でそんなに露骨に慌てている君は、さぞかし自分に自信がないんだろう。何故、か。彼…落合君をモノにしてないからに違いない。…こういう僕の勘は当たるんだよ。丘に引き上げられた鯉みたいに口パクパクしている君を見れば、早くも満点を貰った気分だけどね。」
我妻は呻きを押し殺して、相手に食ってかかる。
「…るせェな。大事にされているから、アイツは手ェ出してこないんだ。」
「はっ!!負け犬の遠吠えにしか聞こえないね。」
愛しているんなら抱くでしょ、普通。同期はさらりと言って、紙コップの中身を勢いよく煽る。
「以前に君を襲って、一度味を占めちゃっているんだから。よく言うじゃないか、男は狼って。結局のところ、君は彼を狼に出来てないんだよ。駆り立てられるほどの魅力が君にはないんだ。…可哀想に。」
くすっ、とあどけなく笑う伊月に我妻は丸テーブルを叩いて立ち上がる。
「…落合を知らない癖に、口からでまかせがスラスラ出てくるんだな。」
震える唇で息を吸い、我妻は目を閉じる。すぐにでも、身体が思い起こす。落合の柔らかな触れ方。掌。添い寝した時の、全身の温もり…。
「俺は知っている。アイツの好物や仕草…笑い方。」
「恋は盲目って言葉を知っているかい??…落合君は、うちの社の女性に人気だそうだ。」
君は知っているかい、と畳み掛けられ、我妻はハッと笑い飛ばす。
「バカ言え。あんな鈍感野郎が一体どんな女の子に…。」
が、すぐに我妻はテーブル越しに聞いた織戸の告白を思い出す。
『…私の好きな人。』
「君はどこまで知っているんだろう。彼の過去の女性経験。鈍感だから、色恋に疎いからって、浮気一つしないと盲目的に思い込んでない??」
「…もういい。」
我妻はふいと顔を背ける。自らに背を向けた同期に、伊月は続ける。
「彼は、どうして君を抱こうとしないの??」
伊月の口角が、意地悪く引き上がっていく。
「うるさいって言っているだろう。」
「…本当にやり方を知らないだけ??」
「黙れ!!」
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