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「…今は、誓ってあなたに一途ですから。」
落合は、年上の男に強い恋慕の眼差しを向ける。
「…っ」
我妻は小さく、息をのんだ。
「…で??」
今度は、落合が荒んだ双眸を始める。
「…俺だけ探り入れられて終わりっていうのは、正直ないな~って思うんですよ。」
「おっ、おい…。」
「我妻先輩には…、何人いるんですか。今まで、好きになった人。男ですか、女ですか??若い??それとも、年上??」
年上の男に食ってかかる落合の目にほの暗い嫉妬が灯る。我妻は少し言い淀んで…、観念したのか僅かに口を開く。
「男が好きだと自覚しだしたのは、中学の時だった。」
訥々と我妻が語りだす。部下は、我妻の身体に縋り付くように抱いて、話し声に耳を傾ける。
「早い段階で、何となく以前にも兆しはあって。…女性は、綺麗や美しいとは認識しても、どうしても恋愛対象にならなかった。」
我妻は部下に背を預けると、俯きがちになる。表情がよく見えなくなった。だが、落合は無理に年上の男の顔を覗き込もうとはしなかった。…赤裸々に過去の恋を語る男を、荒っぽく暴こうとするのは、少々野暮に思えた。
「…好きになったのは、お前で二人目。好きだった奴は、今までで一人。…学生の時にママゴト程度に付き合って、別れた。そいつとは、今はもう友達。後は、性処理目的の風俗通い。」
我妻は、唇を突き出して拗ねた声を出した。
「…お前みたいに、人様に聞かせるほどの厚みもない話だよ。」
「そ…っ、そんなことないですって!!」
慌てる部下の隙をついて、我妻は逞しい両腕の抱擁から颯爽と逃れていく。眉をこれでもかと寄せて無念そうな表情をする部下に、我妻は微笑んでやった。
「…ってなわけで、帰るか。」
「え゛。」
目を丸くする落合に、上司は腰に手をあてて説教する。
「何だ、その間の抜けた返事は…。いいか??よく考えてみろ。今日は華金でも何でもねぇんだ。明日もある。二人して無様に飲み潰していいわけあるか!!」
「そんなぁ…。あっ!!…というか、ここのお勘定…。」
「お前持ちだろ、トーゼン!!変な勘違いで人を振り回しやがって。迷惑料、普段ならもっと高く見積もってやるんだけどな~!!今回は…、その、俺にも非があるし。」
落合はその場でカバンを漁り、財布を取り出して中身を確認してから俊敏に土下座のかまえをとる。
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