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「おい…。何の真似だ??」
我妻の冷ややかな目に見下ろされながらも、情けない部下は頭を落とした。
「…我妻様ァァァッ!!」
金銭的に虫の息だった落合の叫びが、居酒屋中に響き渡っていく…。
巡り巡った金曜日。朝一からそわそわしていた落合は、デスクで仕事の準備をしていた水越の声に反応した。
「お~、織戸。どうした、その髪型。」
好奇心に駆られて水越が声をかけた方向を見ると、普段は一つ結びの織戸が後頭部の低い位置でツインテールにしている。
「えへへ~。たまには、気分転換にこういうのもいいかなって。」
「お~、お~。…高校生に見えるぞ。」
一瞬にして、言われた織戸は白けた表情になる。
「…はい、始まりましたぁ、水越君のジョーク~…。」
がっくりと織戸が肩を落とす。水越は助け舟を出せとばかりに落合の脇を突っついてくる。
「ジョークじゃねぇって。なっ??落合。」
「えっ。うん…。」
落合は片拳を口元にやり、コホンと小さく空咳をする。…織戸は、ほのかに赤く染まる落合の両頬に声を失う。
「若く見えるしその…か、かわいい、じゃん??」
織戸の頬が自然と緩む。小さく、ありがとう、と呟いた。
織戸はデスクに座って…口元を手でおさえる。ニヤニヤ笑いが止まらない。
(…気分転換、ってのは真っ赤な嘘で、実はこれこの間、我妻と落合君の学生時代の友達??から聞いた話を実践してみたんだよね~??)
途切れ途切れにしか聞こえなかったが、学生時代の落合のタイプだけはしっかりと聞き逃さなかった織戸であった。
『えっ??落合のタイプゥ~??あ~…。なんか言っていたな。ええ~っとぉ…。確か??小柄…。160前でツインテールの女の子とかが良いって言ってなかったっけ。合コンだったか、ゼミだったか。はたまた雑誌で”この子タイプだわ”の指差しだったか。』
デスク下、誰にも見られない場所で織戸は片拳を握り締めた。
(サンキュー、我妻!!話の展開は全く見えなかったけど、たまにはいい仕事するじゃん、お前!!)
やや遅れて、三人から離れた位置で、我妻が盛大なクシャミをした…。
金曜日の昼下がり。…我妻は心穏やかでなかった。仕事終わり、落合の家に行くから、ではない。
…部下の様子が気になって仕方ないのだ。
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