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ちょっとくらい良いだろう、なァ??、と妖艶な悪魔が華奢な身体をくねらせて落合の肉体を舐る。
落合は会議室の壁を片拳でどんっと叩く。大きく鈍い音が、会議室いっぱいに轟いた。
続けて、年下の男は我妻の両肩を掴み、力いっぱい引き剥がす。…離さなくては、腹の底から沸く劣情に落合が押し負けてしまいそうだった。
「俺が迎えに行くまで、先輩には待っていてって伝えたじゃないですか。」
再び指先を伸ばして、落合は年上の男の頬に触れる。頬から指が落ちていく。我妻の顎をやや荒っぽく上へと向かせて、落合は自らの親指の腹で相手の上唇をなぞった。そして、二人の唇が重なる…前に、落合は顔を背けて、相手の肩に口元を埋める。
「お、俺だって我妻先輩が欲しい、です…。」
まるで沸騰しっぱなしの鍋に苦し紛れに蓋を被せていただけのように、一言零しただけで感情が溢れて止まらなくなる。
「先輩の心が、身体が…欲しい。指先を絡めたいし、髪を撫でたいし、口づけたい。全身で抱きついていたいし、それ以上のことだってもっとしたい。我妻さんが全部欲しい。」
我妻は呆然と声を出す。
「俺が…俺だけが、欲しい??」
「はい。あなただけが丸ごと、欲しいです。」
掠れ気味の部下の泣き声に、我妻はふっと口元を緩ませ、一気に距離を絞る。
「…バカ面。」
目を丸くしている落合に、上司は彼の額にデコピンをかます。
「うわ゛ッ!!」
モロにくらった落合は、上半身を仰け反らせ…患部を痛そうに片手で摩る。
「い、いきなり何ですか、もう…。」
「お前が腑抜けた面してっからだ。年上で、しかも上司の俺を待たせて…んな弱音を吐くな。」
「だ、だって…それは先輩がっ!!」
言葉を紡ごうとする部下に、我妻はでも…と遮る。
「もう少しだけ…お前に引っ付いといていいか??」
落合は驚いて目を見張ったが、すぐにはい、と穏やかに頷いて年上の男を抱き寄せた。
矢先。
出入り口付近で、音がした。二人は反射的に振り返る。…最早、会議室に明かりは一つもない。薄暗くて室内は目を凝らさない限り何一つ見えないはずだ。落合は咄嗟に腕の中にいる年上の男を見る。…我妻は、出入り口のドアを睨みつけながらも、小さく肩を震わせている。落合の腕に知らず力が入る。
(この人に、二度と怖い思いをさせないって誓ったんだ。)
我妻の耳元で、そっと囁く。
「…ここで、待っていて下さい。安全が確認出来たら、すぐに戻って来ますから。」
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