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食後の体育1
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"本鈴に間に合った"では少し語弊がある。訂正すると"本鈴に間に合わせた"が正しい。
自転車の荷台に紘太郎を乗せて全力で漕ぎ、学校へ着いたら三階の教室まで駆け込んだ。チャイムの音が鳴り終わってから席に着いて、担任の岩橋は三分後に来たため遅刻扱いにならなかった。
教卓前の列、前から四番目の席に座る紘太郎は、締まりのない顔で理玖に手を振っていた。伊織はため息の一つも吐きたくなったが、理玖の理不尽な仕打ちを回避できたと思えば、知らず安堵の息が漏れた。
昼休みは理玖にしっかりといちご牛乳を奢らせ、踏ん反り返って飲み干したのは言うまでもない。
五時間目は食後の体育だった。
本日集合の第二体育館は、第一体育館に比べこじんまりとしていて、全体的に明るい色の木目が目を引く。第二とつくくらいなのだから、第一体育館よりも新しげなのは明らかである。
それぞれの体育館は男子と女子に別れ、毎時間交代で使用するのが主だ。二クラス合同で組まれる体育の授業は、担当の先生が男女を各一人で監督する。
教室からの距離も、体育館の広さも設備も、どれを取っても第一体育館に軍配が上がった。学校の敷地内にあるものの、第二体育館は校舎を出なければ行けず面倒だ。夏や冬は特に不人気となる。
それらを考慮した二つの体育館、その最大の違いはサボれるかどうかだ。
どちらの体育館も、授業内容によっては体育館と校庭を選べる。けれど数年前、校舎の端に新設された卓球場は、第二体育館使用時だけの選択肢だった。
各体育館の反対側で距離のある卓球場は、体育の授業中に校庭をつっきって行くことになる。先生だって滅多に来やしない場所だ。
サボる人間ならば、第二体育館で行う体育は絶好の時間なのだ。
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