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★★★★★★ 君が悲しみに泣き叫んだあの夜も、どこかの誰かは愛に癒されていたんだって、 ☆☆☆☆☆☆
☆誰でもいいからセックスしようってのが、いつからかあんたじゃなきゃ駄目になっちゃう前のお話
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☆誰でもいいからセックスしようってのが、いつからかあんたじゃなきゃ駄目になっちゃう前のお話
「………っ、う、」
思わず出た声を咳払いにしてごまかす。涙が、また。もうやだ、こんなん。ちょっと興味もってごめんなさい。初めからちゃんと拒否っときゃよかった。おれのばか。
中に入れられたの。それ系の玩具だってわかってる、けど、振動するやつとか、ひどい。奥にいるし。やだ、すげぇ、やだ。ちゃんと気持ちいい。すげぇ気持ちいい。あーもう、駄目だ気持ちいい。俺も変態だったのかな。だからこんな目に遭ってるのかな。
電車。着いた。脚が動かない。これ、抜いてくれないんだ。いやもう知らん、降りる。頑張って身体を動かす。やばい。中で。あー無理。混雑で、左右の人がぶつかってくるのさえ感じてしんどい。
ホームに降りて、人がはけるのを待つ。しばらく突っ立ってる。視線を感じるけど、もうどうでもいい。朝から駅で泣いてる大学生とか。おれだっていたら気になるよ。
階段を走り降りて、例のトイレへ。いやもう、何しててもあれ、動いてんだもん。もうなんでもいい。どうでもいい。早くイきたい。それしかない。こんなにずっと気持ちいいのにイけるほどじゃないってのが、心底つらい。
目的のトイレに入ったら、入り口のところで出てきた先客とぶつかる。ごめんなさいと叫んで一番奥の個室。よっしゃ他には誰もいない。
さっさと抜こうって思ってたのに、誰も見てないとこにひとりきりになったら、まず嗚咽がもれた。そこから声をあげて泣いてしまう。ああおれ、そんなに怖かったんだ。けっこう本気で、嫌だったんだ。
ドアがコンコン、とノックされる。無視。大丈夫? って声をかけられる。無視。そしたらドアが開いた。あーもうばか。鍵閉め忘れてんじゃん。
さっきぶつかった人だ。頭に白いタオル巻いて、紺色の作業着。いかつい系の。
トイレットペーパーをカラカラ出して、渡してくれる。涙を拭う。いっぱい声出したから、ちょっと落ち着いた。
「ど、……どしたの?」
肩をつかまれて、顔をのぞきこまれる。あーやばい。今、触られると。我慢できなくなる。ひっこんでたムラムラが再発。その胸に飛び込んでみれば、ぎこちなく抱きしめてくれた。子供にやるみたいに、背中をポンポンされる。さすってくれる。
ごめんなさい、優しいお兄さん。
利用させてください。
「……電車で……っ、なんか、変なこと、されて」
「っ……あー、……たまにいるよ。けっこう酷いらしいね」
「……っ、ん」
「……………あー。で……これ、取ったほうがいいと思うけど……」
お兄さんがものすごく言いにくそうに言う。なに?
おれの尻ポッケ、にいつの間にやら入っている、どぎついピンクの小型機械。楕円形の。回すタイプのスイッチがついてる。
「なに、それ、あっ……!」
くん、と引っ張られた。そしたらお尻の中のが動いて、脚の力が抜けた。え、なにこれ、繋がってんの?
「あー、やっぱ、中入ってんだ」
おれが崩れたのを片腕つかんで、引っ張りあげる。ていうか、脚。咄嗟に支えてくれたのはありがたいんだけど。股関にお兄さんの膝あたる。やばい。
「や、だ、知らない、なに」
また涙がこぼれる。もうやだ。怖い。
「え、ただのローター……えっ? 今、スイッチ入ってる」
リモコンを見てお兄さんが驚く。そーだよずっと振動しっぱなしだよ、だって知らないもんわかんないもん! そんなんあるんだったら、自分で止めてたよ!
お兄さんがスイッチを回した。
「あ、やだ、っあああ!」
「あ、ごめん逆だった」
中の振動が一気に強くなって、お兄さんがもう一回操作したら止まった。もう無理。もう無理。何回も思ってるけどもう本当に無理。苦しい。死にたい。
お兄さんの首に腕を回す。手足に力が入らない。
「もう、やだ、抜いて」
「……触ることになるよ? 自分でしたら?」
「やだ、わかんないもん、怖い」
「……俺、触っていいの? 大丈夫?」
「いいから早くしてよ……っ」
「うーん」
「ねーお願い! ほんと無理なんだって……」
「…………」
スウェットを下着ごとずらされる。めちゃくちゃにずくずくに濡れた下半身。恥ずかしい。見られたくない。死にたい。
「……君、男と経験ある?」
「ねーよ!」
「…………」
ううう。わかってるよ、感じすぎなの。おれだってわけわかんないもん。こんなの、おかしいのわかってるもん。
「……えーと、あれだ。なんか飲まされた?」
「ううん」
「なんか塗られたりした?」
「…………あ」
最初。
ぬるぬるしてたやつ。
「……あー、うん。多分それだわ」
お兄さんはひとり納得して、おれの尻の穴を探る。ときどきコードを引っ張られるから、身体がびくつく。あ、中に、指。やば、また気持ちいい。
「えーとね、媚薬かな。それ系のクスリ使われてるから、身体変になってても、君のせいじゃないよ」
「……んっ」
指で中のコード引っ張られて、ちょっとずつ動く。気持ちいい。
「びやくってなに、麻薬?」
全然検討違いのことを言ってしまったらしく、お兄さんは笑う。
「あー違う、そんなアブねーやつじゃないから。後遺症もないだろうし。…………えーと、なんだ? わかりやすく言うと。……………Amazonとかで買えるレベル?」
なんだと。安定のAmazonさんだと。じゃあ怖いものじゃないのかな。安心した。
お兄さんが、もっとぎゅって抱きしめてくれる。あたたかくてほっとする。
「えっちな気持ちになっちゃうお薬だって……。だから、いっぱい感じてていいよ。クスリ使われてんだもん、仕方ないでしょ?」
耳元でそんなことを優しく囁かれたら、けっこう、くる。……そうだよね? 仕方ないよね? おれがおかしいんじゃ、ないんだよね?
お尻のを抜かれて、ずっと放置されてた前を触られる。もう声は我慢できない。
「あっ、あー……っ!」
すぐにイっちゃう。疲れた。でも足りない。まだ全然、物足りない。出したのに萎えない。
「あっ、あ、っ……んん、や、ああっ」
「気持ちいい?」
「っん、きもち、い……これっ」
後ろも前もいじられる。あーやばいこれ。おかしくなる。もっとしたい。もっとされたい。こんなんじゃ足りない。
「あー……君がなー、こっちの人だったら犯すんだけどなぁ」
お兄さんが溜め息をつく。そういえば、お兄さんも苦しそうだ。ひとりで気持ちよくなっちゃってた。
「ん……いいよ? しよ?」
「だーめ。絶対痛いから」
「やだ、する」
お兄さんのものに手を伸ばす。服の上からでもわかるぐらい大きいし固い。うわあ他人の触ってるよ、おれ。
「したことないだろ。安易に誘うな」
怒られた。や、でもこれ…………欲しい。
「……したい」
涙目で見つめたら、簡単に折れてくれた。ポッケから都合よくゴムが出てくる。なんで持ってんだろう。
入り口に押し当てられる。あはっ、やばい。でかい。入るかな。誘っといてあれだけど、やっぱ無理じゃね?
でも前をしごかれて、抱きしめられて、なんかいつの間にかぎっちぎちに入ってる。息出来ない。苦しい。あーでも、これ、欲しかったやつ。気持ちいいかって言われたら、正直微妙だけど、なんかもう一旦入っちゃったらずっとこのままがいいって思える。
ゆっくり動かされて、少し痛かったけど、中がぐちゃぐちゃのぬるぬるだから、いっぱい抜き差しされてくうちに変な気持ちになってきて、そのうちどんどん早くなってきて、あ、駄目だ。またイってしまう。お兄さんも俺を痛いくらい抱きしめて、果てた。
昼から仕事で。
その前に1発抜いとこうかなーと思ったらしい。専用の掲示板で相手を探して、あのトイレで待ち合わせ。すっぽかされて、よくある冷やかしだったか、と落ち込んで帰ろうとしたとこにおれが駆け込んできた。
アホみたいに泣いてるし、一瞬当たった股関の感触にえっ? って思って、振り向いて見たら、ひるがえるジャンパーの下にどぎついピンクのあれがチラッと見えて、それで気になって声をかけたと。
もろもろ致して片付けて、駅前のベンチで座りながらお兄さんは話してくれた。
おごってもらった缶コーヒーを飲みながら、あーだからゴム持ってたんだーと思う。
「よくあんの? すっぽかされるの」
「まー、ああいうのはね」
ふうん。出会い系とか使ったことないから、知らない。そんなもんなのか。
「やー。ヤれて良かったよ。こっからまた忙しいからさー」
首をゴキゴキ鳴らしながら、お兄さんは言う。あくび。
「……おれでよかったら、また相手しますけど」
「…………えっ、マジで?」
うああ恥ずかしい。なに言ってんだ、おれ。
いやでもあれだ、べつに愛とか恋じゃないし。ただ性欲解消のお手伝いっていうか。今回のお礼っていうか。こう、気軽な関係の。
「や、でも、それは……」
迷ってる。でも目がキラキラしてる。
「大学そんな忙しくないし、暇だし、べつに今、恋人とか、そういうの、無いし、あ、でも何が出来るってわけでもないですけど。ほんと、おれで良ければ、って感じですけど」
「…………正直助かる」
「あっ、はい」
「…………えっ、ほんとにいいの?」
「はい」
「…………おまえ、良い奴だなあ!」
頭をわしゃわしゃ撫でられた。
にっこにこの笑顔に心がやられた。
……あれ?
なんでおれ、キュンときた?
心臓がバクバクする。あれ?
いやいやコーヒーのカフェインのせいだよと、たいして飲んでもないそれに、またおれは口をつけた。
★終
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