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★★★★★★ 君が悲しみに泣き叫んだあの夜も、どこかの誰かは愛に癒されていたんだって、 ☆☆☆☆☆☆
★やたら歌詞の長ぇバンドの最新曲を何度も何度も聞く夜みたいな
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★やたら歌詞の長ぇバンドの最新曲を何度も何度も聞く夜みたいな
「俺らって仲良いよね」
「ふは、今更なに」
「……や、なんとなく」
「大学からだもんな。…………今何歳だっけ」
「36」
「やべぇ。おっさん」
「な」
「ふはは」
「…………」
「…………え。なに?」
「…………やー。どうなの、おまえは」
「はい? なにが?」
「結婚とか」
「相手いねーし。つか要らんて」
「まわりに言われない?」
「言われる。やだよ俺。ひとりがいいんだもん」
「知ってる」
「だろ。聞くな。え、なに、おまえもしかして」
「…………」
「結婚すんの? えっ!?」
「いや、しねえよ」
「あんだよ……びっくりした」
「相手がいない」
「だよな。だよな。あーびびった。いつの間にーと思った」
「…………………」
「…………………え、結局なにが話したいん?」
「や、……なにってわけでもねーんだけどさ。……こーちゃんにさ」
「事務課の」
「事務課の。コウタニさんにさ、訊かれたわけですよ」
「なんて?」
「『安来さんと鵜ノ目さんってぇー、付き合ってるんですかぁー?』」
「…………それ物真似? 似てない」
「ありがとう」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………いや、で!? 続きは!?」
「おおぅ、びっくりした。『付き合ってる』って言っちゃった」
「言っちゃったの?」
「言っちゃった」
「付き合ってねぇのに?」
「付き合ってねぇのに」
「…………むこう喜んでたろ」
「あーうん。うるさかった」
「……うちの事務課って腐女子ばっかだかんな」
「アニメグッズ制作なんてそんなもんですよ」
「まあな」
「俺悪い気しなかったんだよ。冗談のつもりで口にしたら、あっ、これだって思った。…………昔キスしたの覚えてる?」
「……学園祭ときだろ」
「悪ノリでさ。あんときバカばっかやってたな」
「今もだろ」
「ははは、確かに」
「…………」
「…………なんつぅんだろな。おまえ相手にちんこ立つかっつったら、正直ナイワーっていう感じなのにさ……」
「…………」
「おまえが他の奴のものになるのは、すげぇ嫌なんだよな。よくよく考えてみたら」
「…………行きすぎた友情ってやつだろ」
「それを別名、恋という」
「…………」
「…………だめ?」
「……いいんじゃない?」
「ははは」
「…………」
「…………」
「…………36ってさ」
「おん」
「もっと、おっさんだと思ってた。確かに体は老化してってるけどさ……ずっとおまえといるし。今でも若い気がしてんだよな」
「わかるー! 20代があっという間過ぎ!」
「な。…………俺はさぁ。アニメとかゲームとか好きだし、楽しいことばっかしてたいし、めんどくさがりだし。……だから、ひとりでいるのが気楽なんだ」
「……………………」
「おまえだけが、嫌がらずに飽きずにそこにいてくれんだよ」
「…………俺も楽しいよ」
「ありがと。…………友達なんかろくに出来なくてさ。おまえは違うじゃん。いっぱいいるじゃん。どこ行ってもすぐ人脈広がるタイプのさ」
「おう」
「まーだから。…………おまえが」
「うん」
「……この先どれだけ友達作ってどれだけ女抱いて、そのうち結婚して幸せになってもさ、あのとき学園祭でキスした相手は俺なんだっていう……。おまえは忘れてると思ってた、あんなの。だってあの頃はマジで毎日楽しくて、いろんなことがあって…………………わりぃ、伝わんねぇわ、これ」
「…………なんとなくわかる」
「…………あそ」
「…………どうする?」
「…………なにが?」
「明日。こーちゃん達に、否定しとく?」
「や、まあ。べつによくね」
「…………いいの?」
「いいよ」
「そっか」
「うん」
「…………まぁ。じゃあ。そういうことで」
「うん」
「…………」
「…………」
「…………ほんとに、いいの?」
「…………や。だって。べつに何にも変わらなくね?」
「うん」
「だろ」
「…………そうだよな」
「そうなんだよ」
「……ははは。ウケる」
「はははは」
「…………」
「…………」
「…………なんか今更緊張してきた」
「…………俺も」
★終
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