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身体が軋む…
心も…痛む…
愛しい貴方を思う気持ちが…黒く染まっていく…
頬を伝う涙までもが黒く…汚い…
嗚呼、如何か…如何かこの俺を…
「…っ…」
不毛な想いだと分かっている。
身の程を弁えろと頭では理解している。
けれど、けれどこの想いだけは如何か…
誰にも知られぬ事は無い想いだけは…
貴方に届いて欲しい…
黒く…
醜く…
汚い…
それでも確かに俺は…貴方をお慕いしております。
御仏よ…これ以上の物は望みません、だから如何か…
あの方の幸せを…如何か…
沈み行く月に願い、寒空の下祈りを捧げる。
俺は如何なっても構わない…
だから如何か…
その時、ふわりと金木犀の香りが鼻に伝わった…
「あぁ……秋か…」
彼と文通を始めたのは熱い夏からだ…
もう時がこんなに経っている。
冬が来る…白く綺麗な雪が…
『こ、れは…』
朝一番、文を開けてみたら……
ポトリと小さな花の小枝が落ちて来た。
『金木犀…』
甘く優しい香り…
秋を知らせる香り…
少しだけ元気が無い小枝を掴み、近くにあった花瓶の水をガラスの小物入れへ移した。
そこに金木犀の枝を差し込む。
気休めにしかならないだろうが…それでも…少しでも長く持つのなら…
『あぁ…会いたい…』
文を胸に抱き留め、金木犀の香りが含まれた空気を吸い込む。
彼に満たされている…けれど、本人が居なければ意味が無い…
会いたい…会いたい…
叶わぬ願い。
眩しい朝日を見つめ、そっと祈る…
太陽の様に眩しい笑みをいつか見たい。
だから…今はこの眩しさに願おう…
太陽の神よ、僕と彼を如何か惹き合わせてください…と。
昼は暖かくて好きだ。
少しだけ外に出よう…
「………。」
彼と出会って…と、いうか面と向かって話せるようになって…
少しだけ心が軽い。
けれど…それと同時にあの行為が重い…
自分の意志は届かない…耐えるしかない。
《………。》
報われる日が来なくとも…
嗚呼、気が付けばここ最近ずっと彼が頭の中を占めている。
嬉しい様な…少し自分が気持ち悪い様な…
「………。」
けれど…俺は穢れている。
彼は優しいから何も言わない…本当は嫌なのかもしれない…
手紙も、会うのも…
合わせてくれているだけかもしれない…
俯き、溜息を吐いた。
暖かいけれど、白い息が出た…
もう…冬は近い…
紅葉の木々から葉が落ち、細く…それでいてしっかりとした節々が顕になる。
葉の代わりにと、雪が積もり…辺り一面を真っ白に染める。
その瞬間だけ…俺の心も綺麗に感じる…
だが、感じるだけで…実際は何も変わっていない。
寧ろ…酷くなるだけだ。
回数が増え、体調を崩しても行われる…
「あぁ……消えたい…」
ポツリと呟いた言葉は、誰にも届く事無く消えた。
「…っ!」
唐突に腕を捕まれ、部屋の中へと押し込まれた。
前戯など何も無く…
抵抗もせず……ただ静かに…
虚しい…
苦しい…
消えたい…
死にたい……
静かに流れる涙を拭うのともせず、届かぬ貴方を思い続けた。
早く終われ…早く……
もう、何もかも…
ただ…叶うのならば、消える前に貴方と微笑み合いたい…
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