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ロミオとジュリエット 68★
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結の足を、私の腰に巻きつけ、結のそこを指で開き、私自身を含ませた。
「あっ、んっんう…。」
「結、力を抜いて…。」
久しぶりで、結に入りにくいかもしれない。
「ああっ!」
時間をかけて入口を貫通させると、結が全身を緊張させた。
「力抜いて。大丈夫だから。」
「う…ん…。」
前に触れ、愛撫しながら、気を逸らせた隙にググっと深く入れた。
「あっ東郷さん、ずるい…。いやっ。」
結の奥に少し当たったので、ノックするようにすると、更に奥が開くはずだ。
結は私を忘れていない…。
「あっああああああああ!」
一気に動くと、結が叫んだ。
「あっあっ、あっ…。」
ゆっくり引いて、もう一度深く入るっ…。
何度か、引いて押して次第にスピードを上げていく。
「ああっ!!!んんっ…!!。」
私は、抑え込んで来た愛情を注ぐ。
脳髄の裏がスパークし、体中の熱が沸騰するような気がした。
結も、全身を硬直させた。つま先が反っている。
私は、結を愛しているのだ。
別れたはずの結と再びこうなって、私は私を育ててくれたブラオミュンヘンを裏切ってしまった。
結もパリバレエ団の意志に背いた。
私は結と、ひとしきり愛し合った後、結の上に崩れ落ちた。
そして、結の隣りに燃え尽きたように仰向けに倒れた。
結の荒い呼吸が聞こえる。
今まではいつも、結の髪を撫でてやり、甘い時を過ごしていたが、今回の逢瀬は罪の重さに押しつぶされそうだ。
気配を感じて目を開けると、結が顔だけこちらを向けて私を見ていた。
結が、苦悩に似た表情を少し浮かべ、私の方に手を伸ばして来た。
私はその手を取り、結を胸に抱き寄せた。
「大丈夫か?」
「うん…。」
「東郷さん…、」
「ん?」
「僕たち…結婚するんだったよね。」
「結…。」
「するって言って!」
そう言ってやれればどんなにいいか。
「言えないんだね!嫌いっ!」
私は結を抱きしめた。
腕の中で結がもがき暴れる。
それでもきつく抱きしめる。
「嫌いっ!嫌いっ!でも好き、離れられない…。」
結はくぐもったような泣き声を漏らした。
私は、翌朝早く車で結をフライブルクの駅に送った。
結はドイツのフランクフルト公演中だ。
私の自宅のあるフライブルクから、フランクフルトまで、ヨーロッパ高速列車で2時間強で行く。
1人席のある一等席を買って、結に渡した。
車でフランクフルトまで送って行ってやりたいが、今日は試合がある。
10時には、選手たちと合流しチームのバスで試合会場まで移動しなけばならない。
結は、キャップ型の黒い帽子を深くかぶり大きなマスクをかけ、面が割れないようにしている。
それでも、フライブルクはベルリンやミュンヘンなどの大都市に比べると東洋人が少なく目立ちそうだ。
それに結は、一目でちょっと目立つ体形をしている。
細くて、しなやかに強いバレエダンサー特有の身体だ。
道ノ瀬結だと分かって、囲まれたりしなければいいが。
「フランクフルトに着いたら、ホテルまでタクシーで戻る。」結は言った。
「みんな、結を探しているんじゃないのか。」
「いや、昨日フランクフルトを発って今朝戻るんだから大丈夫。たぶん。」
「マネージャーさんは探しているだろう?新しいマネージャーさんがいたね。」
「うん、楠本さんは外されちゃったんだ。」
「私のせいだ。」
「東郷さん…。」
結のマネージャーの楠本氏は、結の記憶障害のことを私に話したため更迭された。
そう、五代がはっきり言った。
楠本氏を更迭したのはパリバレエ団だが、その後ろには磯崎首相ら政府がいる。
発車時刻になり、列車は結を乗せて走り出した。
こうして、この駅で結を見送るのは何度目だろう。
結が、見えなくなるまで必死に振り返り私から目を離すまいとする。
結!
私もホームを少し走った。
結!
結…。
行ってしまった。
結が行ってしまった。
ホームを走る私に、気付いた乗客があっと言うような顔をしたが、すぐに目を逸らせた。
この街の人は、私のプライベートを大抵放っておいてくれる。
私はこの乗客に小さく感謝した。
そして、私は五代とのことを清算しなければならなかった。
五代と別れた後に、結と復縁すべきだった。
だが、結は急に訪れた。
五代は、おそらくハニートラップと自分の気持ちとの半々で私に近付いて来たのではないと思う。
五代に清算を願い出ても、彼が、はいそうですかとすんなり受け入れるとも思えない。
五代と別れることは出来ても、五代は必ず結を私から切り離そうとするはずだ。
それが五代の職務だからだ。
私と結には、恩あるブラオミュンヘンやパリバレエ団を裏切った。
愛だ、恋だと言っても、支えてくれる団体や人間なしでは生きていけないことは百も承知だ。
結、なぜ私の前に現れた。
結を愛し、結を苦しめる私は罰を受ける。
これは、天罰か…。
結と復縁したことは誰も認めてくれないだろう。
それでも公言すれば、結も私も社会的に抹殺される。
私たちだけでなく、結のご両親も私の母や妹も…。
私は、結との復縁をどう扱うべきか、試合の前も後も思い悩んだ。
パンデミックによる無観客試合で、観客の歓声がない。
それがまた、私を試合に集中させることを阻害した。
いつもの熱狂的な観衆がいれば、その間だけは忘れられる。
試合は、1-0で敗戦となった。
対戦相手は、スペインの強豪チーム、エルコルドバ。
屈指の好カードである。
私は、貴重な試合でつまづいてしまった。
しかも、ブラオミュンヘンがボール支配率6割を超えた。
シュート数は相手の2倍以上の12本だった。それなのに負けた。
決定的な所でチャンスを逃し、得点に結びつけなかった。
しかも、相手に許した1点はマルコによるオウンゴール。
天を仰ぎたい気持ちだが、指揮官の私がそれをやる事は出来ない。
試合後、マルコに厳しい質問を浴びせる記者たちを制し、私がインタビューを変わった。
「強豪に対し、我々はあきらめず戦った。得点につなげなかったことは残念だが、選手は持てる才能のすべてを使い戦っている。」
今この光景を、結が見ているかもしれない。ふと結の顔がよぎった。
記者たちの怒涛のようなインタビューを、終え私は監督控室戻った。
夏が近く、ジャケットを着ての試合はそろそろ終わりだ。
私はジャケットを脱いで私服に着替えた。
その時、電源を入れたばかりのスマホが鳴った。
LINEだ。結か?
タップして、私は後悔した。
五代だった。
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