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目覚め
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目が開く。
ぼんやりと空を見つめながら今なぜこんなことになっているのか、考える。
「…ぁ」
そうだった。
腕を掴まれて、殴られたんだ…。
ゆっくりと起きあがると、腹部に痛みが走った。
「…痛ッ!」
腹を殴られたことなんてないから、こんな感じなのかと感心してしまう。
そんな場合じゃなかった。
「あ?やっと起きたかよ?」
全身が凍りついた。
背後から聞こえたその声は、低く、とても恐ろしかった。
誰…?
言葉にはならなかった。
震える腕を抑えながらゆっくりと振り向く。
昔、ホラー映画を見た。
背後にいる幽霊を振り返って見て、女性が悲鳴をあげていた。
あの時の主人公はこんな気持ちだったのか。
幽霊のほうがまだマシではないだろうか。
なんだかんだ言って、生身の人間が一番怖いとか言うし。
こんな状況でこんなことを考えられる僕にはちょっと余裕があるのだろうか。
答えは、否。
背後を振り向きつつも絶対に後ろに居るのは「やばいやつ」だと僕の本能が察知している。
その恐怖を少しでも紛らわせようと、無駄に脳が働いているのかもしれない。
ゆっくりと、振り向く
そこにいたのは、やはり
「やばいやつ」だった。
所謂、ヤンキーという類のものであった。
あー、これは、死んだかもしれない。
いや、なんでこんなことになってるんだよ
奴から目を逸らしたいのに、なぜか逸らせなかった。
目を合わせた状態で、心の中の僕は騒いでいた。
うわぁあああああぁぁあああっっ
いやいやいや、僕殺される?!殺されるやつ?!これ?!
東京湾に沈められる??!
僕何か悪いことしたっけ……。
思い当たる事は…
うーん、強いて言うなら…
教科書のザビエルに落書きしてペンギンにしたこと?
くらいしか思い当たらない……。
このヤンキーはザビエルが大好きだったのかなあ…。
いや、そんなわけ無いだろ
そんなことを考えているうちに、男が口を開いた。
「お前……、友達いねぇだろ??」
「…は?」
しまった!!!こんなヤンキー相手に
「…は?」とか言っちゃった!
殺される…!殺される!!
謝罪を…!謝罪の言葉を述べなくては…!!
「す、すみませんでした!!!!あの、別に悪気はなくて、!つい、というか、咄嗟に、あの!口が!滑っただけなので!決して貴方を馬鹿にしたりとかしたわけではなくて…!!」
わたわたと身振り手振りで謝っていると男がゆらりと立ち上がり、こちらへ近づいてきた。
目が……怖い。
あれは絶対人を何人か殺している目だ…!!!
逃げないと…!!
殺されて、塵にされる…!!!!!
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