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Episode 55
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お前のせいじゃないよ。
何度だって伝えてきた言葉を、今ばかりは飲み込む。浅葱は慰めを求めていなかった。
「ボクを嫌いにならないで、柊。ボクがどれだけ最低でも、ずっと好きでいて」
至近距離で伸ばされた手を掴み、柊は自分の頰に当てた。愛している、ずっとずっと。
こんなにも不毛でも、愛することをやめられない。浅葱が鴇を諦められないように。
「当たり前だろ。お前が嫌がったって離してやらない」
「……怖いよ、柊」
痩せ細った身体は少しずつ回復の兆しを見せ始めていた。浅葱が鴇に会わなくなって、今日で1ヶ月になる。
「どうとでも言え」
浅葱のスマホに入っていた男達の連絡先は全て削除した。
あの日、浅葱が柊以外の連絡先を全て消したように。
浅葱を縛るものは何もない。
後は、鴇を終わらせることが出来れば全てが収まる。
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