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◆
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そもそもここに長居などしていられない。
さっさと立ち去らなければ、ボールが3
つも飛び込んできたこの教室には誰かしら
が様子を見に来るだろう。
さすがにこんな状況を見られたらここに
いる全員がお咎めをくらうだろう。
その前にさっさと退散しなければならな
かった。
「お前ら、さっさと行け。
見つかったら面倒だぞ」
目の前で起こったあまりの出来事に動け
ずにいる悪友たちを促すと肩を貸しながら
ゆっくりではあるが教室を出ていく。
さすがに停学や退学の処分を受けるのは
避けたいだろう。
「……」
そのまま立ち去ろうとして、だがこの騒
動の中でも机の上に体を投げ出したまま体
から白濁を零す岡本は動かなかった。
電話口で怒鳴ってきた声を今更ながらに
思い出して渋い顔をした彼は、教室から悪
友が全員いなくなったのを確認して岡本に
歩み寄った。
涙を浮かべたままの岡本が虚ろな目で未
だに小声で何か呟いていると気づいてそれ
を聞き取ろうと高取は顔を寄せる。
「…り君…高取君…たかと…」
消え入りそうな声で繰り返される名。
それを聞いて顔をしかめた高取は、苦渋
の面持ちで岡本を見下ろした。
岡本は壊れてしまったのかもしれない。
彼の望みどおりに。
だが、それでも岡本は彼の思惑通りには
ならなかった。
巨●を突っ込まれ揺さぶられている間も
ずっと呟いていたのかと思うと頭痛がして
くる。
このままこの場に残していけば駆けつけ
てきた教師達に犯されたままの姿を見られ、
その場に居合わせた唯一の人物として事情
だって聞かれるだろう。
面倒なことになったものだと溜息をつき
ながらとりあえず岡本のズボンを引き上げ
て肩を貸し、教室を出ていく。
「…り君…たかと…」
「るせーよ。黙れ」
ぐったりとする岡本は虚ろな目でどこを
見ているのか。
今自分の体を支えているのが切望する高
取本人だとも気づかずにその名を呟き続け
る。
それを煩わしく思う高取の胸にじわじわ
と罪悪感が今更染み入っていき、彼は忌々し
く舌打ちするしかなかった。
まともに足を動かせない岡本の体を支え
て動くのは容易ではなく、しかしそれも自
分が全ての原因だと突きつけられたら放り
出していくことはできなかった。
何かに足をとられたらしい岡本がバラン
スを崩すと、それにつられる形で高取もバ
ランスを崩して廊下に座り込むハメになる。
こうなってしまってはもはや舌打ちどこ
ろではなく、苛立った彼は虚ろな目の岡本
の頬を叩いた
「おい、テメェ…!
いい加減に目ぇ覚ませ!!」
叩かれた岡本の頬が赤くなるくらいの力
加減で叩きつけると、焦点の合わなかった
岡本の目が漂うように揺れた末に目の前の
人物を映した。
「高取君…っ」
正気を取り戻した目は、表情は、怯えた
ように震える。
だが伸ばされた震える腕は迷うことなく
高取の体にしがみついた。
「高取君っ、高取君ッ…!!」
もう二度と離すまいとする腕は強く、ガ
タガタと震える体で岡本は必死にしがみつ
いた。
震えながら必死にしがみつく様は高取の
狂気や怒りをかうのを恐れながら、それで
も助けを求め続けるほど慕う岡本の心境を
よく表していた。
その腕を振り払ってしまえるほど高取は
鬼畜にはなれなかったが、かといって抱き
しめ返すほど甘くもなれなかった。
だが岡本は高取の体温を、肌を感じられ
ただけで満たされたらしく、体の震えが収
まるまでずっとしがみついていた。
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