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『おかーさーん!見て見て!折り紙のツル!』
僕は折った、折り紙の鶴を母親に見せていた。
『わー、凄いわねぇ。そっか、もぅ5歳だものね。』
母親は、鶴の折り紙を取って、まじまじと見ていた。
『そうだよ!おかあさんのお腹の中にいる弟にツルの折り方教えるんだよ!おにいちゃんになるから!』
僕は、おかあさんのお腹に抱きついた。
『そうよね、お兄ちゃんになるもんね。』
『うん!』
カーンカーンカーン!!カーンカーンカーン!!
ピーポーピーポー!ピーポー!
『火事だー!』
『避難場所に、急いで!』
近所のおじさん、おばさんが喉が枯れるくらいに叫んでいた。
僕は、焼けている自分の家の前で呆然と突っ立っていた。
『さぁ、貴方も速く!』
そう言い、おばさんは強く僕の腕を引っ張った。
『まって…まってよ、おかあさんが……おかあさんがまだ家の中に…』
『大丈夫、きっと消防士さんが助けてくれるわよ!』
『ほ、んとう?』と、僕は避難場所におばさんと走った。
『駄目だ…完全に脳にまで灰が入っている…もう、手遅れかもしれない…』
医者は、おかあさんの事を見て言っていた。
『治らないの?』
僕は、目の前に居る医者に問いた。
『意識はあるけど、脳が正常に働かない。まるで、生きた死体だな。』
『…[したい]ってなに?』
『……』
黙っている医者。
僕は、今の状況が分からないままでいた。
その後は、いとこの家に引き取られた。
運のいい事に歓迎してくれて、僕は小学6年生まで面倒を見てもらっていた。
中学生は、寮で暮らしていた。
そして、卒業した。
そして今、僕は高校生。
バイトも始めて、今はアパートに一人暮らし。
さっきの回想中で父親が出なかっただろ?
その訳はね、父親は僕が0歳の時に死んだ。
そして、僕が5歳になった時に出来た弟は、再婚した父親。
火事になってから、何処かに行ってしまった。
今は、何をしているのかなんて、知ったこっちゃない。
弟も、母親も、父親も死んだ。
何て最悪な人生なんだろう…
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