アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
冬の話 1 ☆
-
冬 中学一年
……寒い…なぁ……。
今日は…12月24日…2学期の終業式。
貰った通知表は、誰に見せることもなく、3学期が始まったら、判子押して先生に返すだけ。
中学校になってから、僕はあの人の家を追い出され、代わりにマンションという牢獄に繋がれた。
あの人が気まぐれに来て僕を折檻しに来る他は、誰も来ない部屋に。
他人と関わる事、全てを禁じられた僕は、同級生も先生でさえもやがて、居ないものとして扱わるようになった。
先生は、あの人が多くの寄付をしてるから、あの人が暴力を振るった後、痣が消えるまで欠席しても、あの人の命令により行事は全て欠席しても、何も言われる事はなかった。
同級生も、先生の扱いにより何か感じるものがあったんだろう。ひっそりと教室に居る僕を無いものとして扱う事になるのに、時間はかからなかった。
あの人にとったら、教室で虐められても、それはそれで歓迎だったかもしれないけど…。
話掛けられもしない。
かといって、悪口やひそひそ話しをされることもない。
……透明人間みたいだ…僕は。
誰にも挨拶せずに、明日から冬休みで盛り上がっている同級生を横目に帰る。
街はイルミネーションで溢れてる。
………そうだ。
今日は、クリスマスイブ…なんだ。
そこかしこにツリーの装飾、赤と緑…そしてサンタさんのディスプレイ…。
……サンタさんなんて、信じてはいないけど…。
何より、僕は悪い子だから…。
加えて、『あれは、両親がプレゼントを買って置いておくもんだ』って、小学生の頃、声高に自慢そうに誰かが言っているのを聞いた。
あぁ…、だから…
悪い子で…両親も居ない僕は、プレゼントなんて来るはずない。
でも……
でも…今年は…?
サンタさんは、無理でも……あの人の家を出て、僕一人なんだから……何か…いい事…あるかな?
家に着いた。
「ただいま…。」
…返事は返ってこないけど…
……え……!!!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 26