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鈴の話 5☆
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ため息を吐く。
闇医者をしてると、否が応でも少年の噂は耳に入ってくる。
少年が兄と二人暮らしだとか、兄が全部少年の稼ぎを搾取してるとか…。
少年は、栄養失調気味で、ガリガリだ。
おそらく食べる物も、僅かしか与えてもらってないのだろう。
まだ、親に守られている筈の年齢なのに。
少年が部屋を出て行こうとする。
「あ…そうだ。
これ持ってけ。
今日、息子が来たって言ったろう?
クリスマスなんでケーキ、持って来たんだ。
一個余ってる。
私は甘い物食べないから、やるよ。」
「……要らない。」
「そう言わずに、クリスマスプレゼントのおまけだ。」
しばらく迷ってたが、箱を手にした。
「春までは、ここでやってる。
千円でいいから、もっと来い。
いいな?」
「……」
こっくりと頷いたのに…
…少年が次に来たのは、もうすぐ2月になろうかという、寒い日だった。
《鈴》
「……ただいま。兄さん。」
兄さんは、ぎろりと睨む。
「遅かったな。」
「……ごめんなさい。」
稼ぎを、机の上に置く。
「……なんだ?この箱は?」
「あ…。」
僕が何か言おうとするより早く、兄さんが箱を開ける。
出て来たのは…サンタの形のショートケーキ…。
「……おまえ…何を勝手に…!!」
「違う!それは…!!」
あ……。
でも…闇医者にかかってる事は…兄さんは知らない…。
僕が…痛くて痛くて…かかってるだけで…。
「…クリスマス…イブ…だから、兄さんに…ひっっ!」
いきなり頰を殴られる。
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