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本気=SIDE S=
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長谷川のつむじは本当に綺麗な渦を巻いているんだなとか思いながら、ココ最近の昼休みは長谷川のつむじをオカズにして焼きそばパンを食べている。
律儀にいつも、屋上のフェンス脇で新学期が始まっても長谷川は昼飯を食べに来ていた。
あの日から、俺は長谷川に会わない様にしている。
今も屋上の一段上にある給水タンクの下に隠れている。
長谷川に勉強を教えてもらって、それで10位以内に入ったらつきあってくれと言ったが、よく考えたらそれってすげえかっこ悪いなと思った。
教えてもらっていい成績をいとったなら、その功績は俺じゃなく長谷川のものだ。
つきあってくれというなら、自分の力だけで10位以内に入らなければ意味が無い。
長谷川は俺が諦めたと思っているみたいだが、そうではないのだ。
ソレまでどんなツラしたらいいのかわからねえから、逃げ回っている。
どうやら、俺は友達なだけじゃ満足できそうにないのだ。
夏休み明けの模試で、50位以内に入ることができた。勉強方法の基礎はがっちり長谷川が教えてくれたので、あとは応用を叩き込めばいい。
会わなくなって、こうやってつむじを見ているだけなのに、どんどん恋情ってやつは高まってくる。おかしいもんだ。
オンナにさえ、こんな風に思ったことはなかった気がする。
つむじだけでいいだなんて、俺って本当に不毛なやつだったんだなという気さえしてくる。
冗談にされたときは本当にマジで許せないと思った。
だけど、本気にされないような、俺の行動自体が間違っていたんだろう。
だから…本気を、俺の本気を長谷川に見せてやりたいと思う。
好きだと思う。
その感情を冗談に思われたのは本当に最悪に気分が悪かった。
だけど、それは俺が足りてなかったからだけなのだ。
今度の中間試験で、絶対に10位以内になって、長谷川にもう一度告白をしようと思う。
多分、やっぱり断られるのはわかっている。
だけど、俺の本気だけは伝えなきゃいけねえって思う。
冗談にされたままじゃ、男が廃るってもんだぜ。
なあ…。
俺は秋の風に吹かれて、きっちりとした渦が少し隠れるのをぼんやりと眺めながら決意を新たにした。
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