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中間考査=SIDE H=
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夏休みの最終週に、何度か先輩の家に行ってみたが、先輩は家にいないようだった。
そして、新学期が始まっても、いつも昼飯を食べていた屋上には一度も現れなかった。
朝の検査もオレのいない時間に登校しているようだし、まったくすれ違うこともない。
とはいえ、同じ校内そうそう顔すら合わせないなんて芸当は、なななかできないものだ。徹底して逃げているとしか思えなかった。
完全に嫌われたのかな。
唯一のおかずである青臭い味しかしないキャベツをもぐもぐと口に運ぶ。
オレの身長が親父やアニキと比べて低いのも、このローカロリーすぎる食事が原因かもしれない。
先輩と食べていた頃は、なんやかや先輩が自分の食べ物からおかずやらなにやら提供してくれた。
特に、楽しい会話とかできなかったけど、そんな些細なことが今は凄く恋しい気分になる。
秋の風もずいぶん冷たくなってきた。
そろそろ、ここで食べるのも、寒くてしんどくなってきたか。
体もだけど、それ以上に心のほうがしんどいものだ。
15分もかけずに食べ終えると、オレは弁当箱を袋に突っ込んで、屋上の扉から階段を下りる。
胸が痛むのは、傷つけたままにしてしまった先輩の気持ちに何も手が打てずに、時間だけが経っていくのが本当にやりきれなかった。
じゃあ……どうすればいい?
階段の踊り場に生徒達が溜まっている。
そういえば、中間考査の発表日か。
150位までが貼り出され、150位以下は補習対象だ。
この学校には、もともとのレベルが高い生徒しかいないため、赤点などの仕組みは無い。
補習を受ければ、自動的に進級できる。
ふと、目を向けると二学年の考査結果表が飛び込んでくる。
そこには、オレが予想もしていない結果が貼り出されていた。
『8位 瀬嵐 成春』
10位以内を半年で入らせるとは言ったが、本当に10位以内に食い込むとは。
驚きで目を瞠る。
ちょっとやりかたのコツを教えて、基礎を教えただけでうまくいくほど、この高校のレベルは甘くない。
コツをつかんでも応用ができるようになるまで必死に勉強しなければ、ここまで上位に這い上がれるわけがないのだ。
なんだ……。
やりゃあできんじゃねえか。
元々、オレなんか必要なかった。
先輩は努力は嫌いじゃない人なのだから。
なんだか、もうオレなど要らないといわれているような気がして、脱力感を覚えて表から背を向けて自分の教室に向かおうと階段を下りた。
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