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雨=SIDE H=
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「買い物だったら、キタラかサナミに頼めよ。オレは忙しい」
帰り道で突然入ったメールには、母さんからツマミモノの買出しの依頼メールがきてた。
今日は本当に機嫌は最悪だったので依頼がうっとおしかったが、断ると更にうっとおしいことになりそうだったので、母親の経営しているクラブまで運んできたのだ。
本気でくさってるな、自分。
「忙しいっていったって、オマエは勉強してるだけでしょ。今日はクラブを貸切でパーティがあるの。猫の手も借りたいのよ。雨降りそうだから外に出してるビール箱、閉まってちょうだい」
学生は勉強が本分なのだが、勉強を暇つぶしと思っている親には通用しない。
そして、人遣いが荒い。
オレは荷物を置いて、裏口の扉を開く。
ぽっつぽっつと降り出した雨が頬にあたる。
……リンチか?
にしちゃあ…、聞こえてくる声が…喘ぎ声のようだ。
強姦?
裏口の端っこにたむろしているのは、柄の悪い東高の制服を着た連中だった。
まあ、関係ねえか。
よくあることだ。オレに何かしなくちゃいけない義理はない。
そんな正義感もない。
いつものようにビールケースを店の中にしまおうとして、視線を落とし地面に散らばっている制服に、オレはその手を止めた。
オレと同じ、第一高校の白いブレザーの制服と、ズボン。
こんなとこにくるような人は限られている。
……先輩?
眼鏡を外してビールケースを店にしまって、その上に眼鏡を置いた。
オレの中で意識が張り詰める。
大事なものをなくした時のような……。
気配を消して近寄ると、影から見える綺麗な金色の髪が、土に汚れていた。
オレの中の配線が一気にビチビチとぶちきれた。
近くにいた、赤い頭の男の顔を蹴り上げ、地面に蹴り倒す。
倒した上で、頭をぐりぐりとバッシュで踏みつける。
「テメエ、何邪魔してくれてんだ」
「うるせえ、きたねえちんぽ仕舞えや、カス」
続けざまに腹に一発決めて、回し蹴りでスキンヘッドの男を蹴り倒す。
別にアニキのように喧嘩をしてきたわけじゃない。
ただ、アニキのせいで絡まれることは結構あったので、危機管理よろしく鍛えてはいた。
この程度なら、なんとかなるレベルだ。数は多いけど負ける気はしない。
「一高のボウヤが仲間助けにきたわけ」
「センパイからきたねえの抜けって言ってるだろ」
両手を組んで頭に振り下ろして、ぐったりとしているセンパイから引き剥がす。
ぐっと肘で鳩尾を殴ると、襲ってきた二人の腹に回し蹴りを決める。
「かーちゃんが、料理手伝えってー、セイハ……」
ちょうどいいタイミングで、アニキが裏口から声をかけてくる。
加勢してくれりゃあ、すぐに終わらせられる。
「お、オマエが喧嘩とか、雨降るぞ。……って降ってるか。ナニ?俺の弟に手ェだしてくれてんの?」
「ハセガワ!!!!」
アニキの顔を見た瞬間に、やつらは泡を食って負傷者を抱え、くものこを散らすように逃げていく。
それより、なにより…。
「センパイ……大丈夫…か?」
オレは少し取り乱しながらも、先輩の近くに駆け寄る。
傷ついた様子がみてられなかった。
朦朧とした様子でオレを見上げて、雨に濡れた体を震わせ耐えられないように首を横に振る表情が扇情的でたまらなかった。
先輩の様子を見て、アニキは眉を顰めるとすばやく落ちているズボンをそっと履かせる。
ブレザーを回収して肩にかけるが、体液や雨に濡れて先輩の体はぐちゃぐちゃだった。
「そーとー辛いと思うぞ。クスリ使われてる」
心当たりがあるようで、苦い表情を浮かべている。
「クスリ?」
「媚薬ってやつだ。とりあえず、ヤスんちにいけ。」
アニキはそういうと、ポケットから合鍵を出してオレに渡す。
路上に出るとタクシーを捕まえて、
「オマエにそんな顔させるってだけで、大事な人だってのがわかるさ。」
耳元で囁くように告げた。
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