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覚醒=SIDE S=
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重……い……。
半身に掛かる重みに、ゆっくりと瞼を開く。
裸の体を抱くように覆いかぶさっている、綺麗な黒髪の男。
頭がぼおっとして、思考が追いつかない。
さらっと掛かる髪を指先で掻きあげると、焦がれるほど好きだった眠っている相手の顔が見える。
は…長谷川……?
身じろぎして少し動くと、体中がギシギシと軋むように痛む。
俺……。
断片的にしか記憶はない。
東高のやつらに追い詰められて、クスリを嗅がされ犯された。
その後……。断片的によみがえる記憶。
綺麗に決まる回し蹴りと、俺を抱いたその腕と。
ああ……そうか、長谷川が助けてくれたんだ。
カッコ悪ィ……。ホント、マジ最悪だ。
もう一度、告白しようなんて思ったのがそもそもの間違いだ。
泣きたくなる。
「……助けてくれて…アリガトウな……」
それだけは言っておこうと思って、耳元で囁き、とりあえず帰ろうかとベッドから降りようとして、激痛が体内を襲い膝をつく。
「ぐ……っ……」
引き裂かれるような痛みに呻いて床を軽くバンバンとたたく。
「起きたんですか。無理しないでください」
物音に起きたのか、長谷川が俺に手を差し伸べてくる。
俺と同様に裸で、意外にもかなり鍛えられた引き締まった体をしている。
「自分で……立てる」
伸ばされた手を払って、自分でたとうと腰をあげるが激痛がビリビリと刺さるように体の中心から貫いてくる。
「意地張らないでください。ほら」
痛みに震えながら立とうとする俺の背後に回り、長谷川は腰を抱いてベッドに載せる。
「……みっともねえ……」
長谷川の顔も見れずに、痛む体にぜーはーと呼吸を整えながら呻くように呟く。
長谷川は肯定も否定もせずにベッドを降りて、常備薬から小さいパッケージを取り出して水と一緒に持ってくる。
「とりあえず痛み止め、飲んでください。僕も、無理させてしまいましたし……」
どこか、自己嫌悪しているような表情を浮かべて差し出されたクスリを飲みこみ水であおる。
断片的にしか覚えていないが、確かに長谷川にも抱かれた記憶がある。
やさしく俺を宥めるように、何度も繰り返し抱いていた。
思い出すだけで、自分の浅ましさに消えたくなる。
どちらかというと、長谷川を抱きたいという意味での恋情で、抱かれたいなんて意識はさらさらなかった。
「……僕もあいつらと一緒ですね……」
どこか後悔するような言葉に俺はこぶしを握り締めた。
「は?馬鹿か。一緒のわけねえだろ……」
俺の体は、あのとき何でも求めていた。あそこで長谷川が動かなくても、体を埋めてほしいと懇願していたかもしれない。
先に察してやさしく宥めて、慰めてくれたのは覚えている。
「……でも、僕のこと嫌ってたのに……」
「あ’’?なんでそうなンだよ」
イラッとして長谷川の顔を見上げると、いつものクールフェイスではなく泣きそうな表情にぶつかり、驚いてまじまじと見返す。
「屋上にもこないし、僕を避けてましたよね」
鋭い目が嘘は許さないとばかりに俺に迫る。
「屋上には……いってた」
確かに避けてはいたが、嫌ってなどいるはずもない。
会わないだけ恋情が募った。
どういえばいいのだろう。
「え……?」
「給水タンクのとこで、ずっとオマエ見てた」
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